News | 2001年5月1日 11:59 PM 更新 |
IPv6における最大の性能改善は,アドレスフィールド長の拡張にある。アドレスフィールドを128ビットに拡張したことにより,利用できるノード(IPv6を利用可能な機器)に対して割り当てることができるアドレスを劇的に増やすことができた。
しかし,膨大な数のノードを扱えるということは,その一方で経路情報も同時に増えるということを意味する。相手を容易に特定することができなければネットワークはうまく動くことができないため,効率的な経路制御は必須項目となる。
実際,IPv6がアドレスフィールド長を拡張したのは,単にアドレス空間を拡大することだけを狙ったものではない。経路情報を集約し,できるだけ単純な仕組みで経路制御ができることも非常に重要なテーマとなっている。
もう一度電話の話に戻ろう。国際電話をかけるときには“国番号+市外局番+電話番号”を使う。これは,国という大きな単位から徐々に絞り込みを行い,最終的に目的の相手に到達するという仕組みだ。これと同じように,IPv6のアドレスもアドレス階層の数を増やすことで容易に経路を特定できるようにしている。
ここで,IPv6の集約可能グローバルユニキャストアドレス(図1)を見てみよう。NLA(次階層集約子)は分割して使うことができるため,TLA(最上位階層集約子)を割り当てられた組織(*1)はNLAを使って自由な階層を表現できる。これは,経路制御にとって有効である。
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図1 集約可能グローバルユニキャストアドレス |
パケット処理を行うとき,そのヘッダが複雑だと必要ない処理に起因するオーバーヘッドによって処理効率が下がってしまう。処理効率を向上させるためには,IPヘッダを簡素化して必要最低限の処理のみをさせることが有効だ。
IPv6では,IPv4のヘッダ中にあったいくつかのフィールドを取り除き,オプションの拡張ヘッダに移している。実際,IPv4とIPv6のヘッダを比較してみると,非常にシンプルになっていることが分かるだろう(図2)。と同時に,オプションの追加を拡張ヘッダの追加によって対応することでオプションの長さ制限が緩和され,オプションの拡張が容易となっている。
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図2 IPv4ヘッダとIPv6ヘッダ |
*1 TLAは,「公衆のIPv6サービス」を提供する組織用のアドレスとすることがRFC2450で提案されている。
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