News 2001年6月1日 09:33 PM 更新

進化する家電――キッチンのIT端末は,電子レンジ?

松下がSDカード対応オーブンレンジを発表した。シャープもビジネスシヨウでインターネットレンジを参考出品している。家電製品のIT化が加速するか?


SDカードの献立情報から調理を行うオーブンレンジ「お料理先生 NE-SD10」

 松下電器産業は6月1日,SDカードの献立情報から調理ができるオーブンレンジ「お料理先生 NE-SD10」を発表した。発売は8月20日で,価格は12万5000円。同社によると,SDカードに対応した初めての電化調理製品という。

 本体前面の操作部にSDカードスロットを装備しているのが特徴で,標準添付のSDカードに365種類の献立情報が記録されている。本体前面に装備されている3.8インチのカラー液晶画面に表示されるメニューで料理を選択し,表示される内容に従って調理を行う。調理条件や時間は,SDカード内の情報に基づいて自動的に設定されるので,簡単に料理を作ることができるという。


本体前面の操作部にSDカードスロットを装備

 レシピ情報が入ったSDカードを追加していくことにより,さまざまな料理に対応可能で,オプションとして「おそうざい」「お菓子」のレシピ情報を記録したSDカードも同時に発売する。価格は4000円。今年末には,クリスマスや正月料理のレシピ情報が入った「歳時」も発売予定。

 電子レンジの基本性能としては,業界最高レベルという1000ワットの高周波出力や,熱線を効率的に反射させる「ゴールドオーブン」の採用,異なる種類・温度の食品を同時に温めることができるシステム「いっしょにチン」といった機能がある。

キッチンの情報端末は,電子レンジが有力?

 都内で行われた新製品発表会で「キッチンにある家電製品の中で,情報端末として適している製品は?」との質問に対して,電化・住設社電子レンジ事業部の岡野賢二事業部長は「私見だが,冷蔵庫が一番有力と考えている。冷蔵庫の中の食材がいつでも検索できると,無駄な買い物をせずに済む」と答えたが,ZDNetの個別インタビューでは「キッチンでテレビを見ている人は多い。電子レンジの扉は,ちょうどモニターと同じ大きさ。電子レンジの扉全面を液晶ディスプレイにして,キッチンの情報端末として活用できないかという構想を個人的に持っている」と語っていた。


電子レンジ事業部の岡野賢二事業部長(左)と藤井康照技術部長

 今回の新製品で使われるSDカードは,読み込みオンリーの専用ROMカードとなっているので,厳密な意味ではSDカード対応とは言えない。また,レシピ情報は独自フォーマットで書き込まれているので,データをパソコンなどで利用することはできないという。しかし「(SDカードの仕様開発や普及促進を行う団体の)SDアソシエーションにおいて,今年7月にSDカードの情報データの標準化を図るeパブリッシュという規格が策定される予定。SDカードを利用したさまざまな製品とのデータの共有化が実現する」(藤井康照技術部長)という。


シャープがビジネスシヨウに参考出展したインターネット電子レンジ

 次世代型の電子レンジとしては,5月22〜25日に開催されたビジネスシヨウにおいて,シャープが参考出展した「次世代型インターネット電子レンジ」がある。松下の新製品と同様にカラー液晶ディスプレイを装備し,SDカードを利用してレシピ情報を取り込む点が特徴だ。


中央に4.3型のカラー液晶ディスプレイ,左にSDカードスロットを装備している

 シャープは,1999年にインターネット対応電子レンジを発売。この商品は,別売の「お料理情報ボックス」をパソコンに接続して,同社ホームページ上に掲載されているレシピ情報などをダウンロードし,ボックスを介して電子レンジに取り込む方式だ。ビジネスシヨウで出品した新製品は,SDカード経由で情報を取り込めるようになっている。松下の新製品ではSDカードが読み込み専用だが,シャープの新製品では読み書き可能な汎用SDカードが利用できるという。

 「2002年春までには,商品化したい」というシャープに対して,SDカード対応電子レンジをいち早く市場に投入した松下。キッチンの主役である女性ユーザーに,「IT電子レンジ」は,果たして受け入れられるだろうか。

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[西坂真人, ITmedia]

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