News 2001年6月8日 10:03 PM 更新

東電,電灯線インターネットにも意欲

FTTHの実験サービスを発表したばかりの東電だが,一方で手軽に導入できる電灯線インターネットの研究も進めている。

 「NetWorld+Interop 2001 Tokyo」のTTNetブースには,先日発表されたFTTH実験サービスを含む,各種のアクセス回線向けソリューションが展示されている。その中で,比較的目立たない場所にあったのが日立製作所製のPLC(PowerLine Communication)モデムだ。どこの家庭にも引かれている電灯線(100〜200ボルトの低圧配電線)を利用して,インターネット接続が可能になる。


結構,派手なデザイン。まるでモックアップのようだが,実動するという

 PLCは,九州電力や北海道電力が既にフィールド実験を発表している。東電でも日立製作所と共同で研究を進めており,FTTHやスピードネットの無線アクセスなどと並んで,同社のインターネット戦略の中で将来的に重要な位置を占めることを期待しているという。「すべての家庭に配線されている低圧配電線は,もっとも敷居の低いブロードバンドインフラ。CATVやFTTHのように壁に穴を開ける必要もない」(同社)。

 ただし,問題は未だ山積みだ。家電製品からの雑音(過去記事Aを参照)や低圧配電線自身の分岐による信号反射といった速度低下要因に加え,配電線がアンテナの役目をしてアマチュア無線や短波ラジオなどに雑音が入るといった問題が指摘されている。このため,現状では電波法で規制された周波数帯でしかデータ電送ができず,なかなかスピードの向上に繋がらない。「現在は450KHzまでの周波数でしか利用できないため,100Kbps前後にしかならない。これが30MHzまで使えれば,10Mbps前後には上がるはず」(同社)。100Kbpsといえば,同じく電灯線を使うエコーネットの約10分の1。「スピードに関しては,各社で試験のやり方が違うので,一概にはいえない」(同社)というが,少し気になるところだ。

 もう1つの問題は,モデムのコストとサイズだ。展示されていた日立製のモデムは,横型のISDN TAやケーブルモデムに近いサイズにまで小型化されていたが,「FTTHのメディアコンバータに比べると,まだ大きい」としている。

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[芹澤隆徳, ITmedia]

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