News 2001年7月9日 11:58 PM 更新

TV対応やブロードバンド機能を強化。新インタフェースも――NECの個人向け新PC

NECが発表したPC新製品は,LAN標準搭載や放送と通信の融合を推進する機能など,ブロードバンド対応機能の強化が特徴。ノートPCでは,さまざまな外部AV機器とのメディア連携を可能にした新インタフェースに注目したい。

 NECは7月9日,個人向けノートPC「LaVie」ならびに個人向けデスクトップPC「VALUESTAR」の新製品5機種10モデルを発表した。全モデルにLANを搭載し,放送とインターネットの融合を推進する「TV in PC」商品のラインアップ拡充など,ブロードバンド対応機能を強化しているのが特徴。ネットワークインタフェースとブロードバンド接続を活かすためのソフトも,数多く搭載している。ノートPCでは,さまざまな外部AV機器との連携を可能にした新しいインタフェース「メディア用ポケット」に注目したい。


「ブロードバンド&モバイルがPC普及のキーワード」と語る富田氏

 NEC執行役員常務の富田克一氏は新製品発表会の席上で「PCの普及率は50%を超したが,まだ半分しか普及していないともいえる。さらに,PCの利用環境が現在のままだと,普及が50%で止まってしまう可能性もある。残り50%のユーザーに,いかにPC普及が進むか。普及率70〜80%にするためのキーワードは,“ブロードバンド&モバイル”だろう」と語り,PCのブロードバンド対応やモバイル機器との連携などPC利用環境の改善が,今後のPC需要を喚起すると訴えた。

 今回の新製品は,NECが提唱する“ブロードバンド&モバイル”のコンセプトが生かされた機能を搭載している。


LaVie Tシリーズ

 “エンターテイメントノート”という位置付けのLaVie Tシリーズは,TVやDVD鑑賞に適した15.3型ワイド画面液晶を新たに開発し,300カンデラという高輝度を実現しているほか,CD-R/RWとDVD-ROMの両機能を備えた「マルチプレードライブ」やTVチューナーを標準で装備している。大型の外付けスピーカーや赤外線リモコンなど快適装備も標準添付。シリーズ全モデルに100BASE-TX/10BASE-TのEathernetを標準装備している。

 モバイルPentium III/1GHz搭載のLT900/0Dと,Pentium III/800MHz搭載のLT700/0D,モバイルCeleron/700MHz搭載のLT500/0D)の3機種を用意。価格はオープンで,LT900/0Dが7月26日から,LT700/0DとLT500/0Dが7月19日から,それぞれ出荷を開始する。

 主なスペックは,以下の通り。

製品名 LaVie T
(LT900/0D)
LaVie T
(LT700/0D)
LaVie T
(LT500/0D)
CPU モバイル
Pentium III
/1GHz
モバイル
Pentium III
/800MHz
モバイル
Celeron
/700MHz
メモリ 256Mバイト 128Mバイト
HDD 約60Gバイト 約30Gバイト
ドライブ CD-R/RW+DVD-ROMコンボドライブ
液晶 15.3型高輝度ワイドTFTカラー液晶(WXGA)
インタフェース 100BASE-TX,56Kbpsモデムポート,MGメモリスティック/SDメモリカードアダプタ標準添付(LT900/0Dのみ),TV出力,USB×3,IEEE1394×2,PCカードType II×2,赤外線リモコン
サイズ 365(幅)×250(奥行き)×49(厚さ)ミリ
重量 約4.1キロ 約4.2キロ
OS Windows Me
価格 オープン


LaVie Cシリーズ

 “コンパクトオールインワンノート”という位置付けのLaVie Cシリーズは,無線LAN内蔵モデルやBluetooth搭載モデルを用意し,インターネット通信やプリンタ利用がワイヤレスで実現する。また,PCからの音楽をFMトランスミッターでミニコンポなどに飛ばすことができるワイヤレスオーディオ機能も搭載。コンパクトボディにCD-R/RW+DVD-ROMコンボドライブを内蔵した本体と,各種ワイヤレス機能を組み合わせて,持ち運び自由なPC環境を実現する。モバイルPentium III/900MHzでワイヤレスLAN搭載のLC900Jシリーズ(LC900J/84DB,同84DH)と,Pentium III/800MHz搭載のLC800Jシリーズ(LC800J/84DH,同84DF)の計4機種がラインアップ。価格はオープンで,7月12日から出荷を開始する。

製品名 LaVie C(LC800J/84DH) LaVie C(LC800J/84DF)
CPU モバイルPentium III/800MHz
メモリ 256Mバイト 128Mバイト
HDD 約60Gバイト 約20Gバイト
ドライブ CD-R/RW+DVD-ROMコンボドライブ
液晶 14型TFTカラー液晶(XGA)
インタフェース 100BASE-TX,56Kbpsモデムポート,MGメモリスティック/SDメモリカードアダプタ標準添付(LC800J/84DFを除く),USB×4,IEEE1394×2,PCカードType II×2
サイズ 317(幅)×279(奥行き)×32(厚さ)ミリ
重量 約3キロ
OS Windows Me
価格 オープン

製品名 LaVie C(LC900J/84DB) LaVie C(LC900J/84DH)
CPU モバイルPentium III/900MHz
メモリ 256Mバイト
HDD 約60Gバイト
ドライブ CD-R/RW+DVD-ROMコンボドライブ
液晶 14型TFTカラー液晶(XGA)
インタフェース 無線LAN,100BASE-TX(LC900J/84DB),Bluetooth(LC900J/84DB),56Kbpsモデムポート,MGメモリスティック/SDメモリカードアダプタ標準添付,USB×4,IEEE1394×2,PCカードType II×2
サイズ 317(幅)×279(奥行き)×32(厚さ)ミリ
重量 約3キロ
OS Windows Me
価格 オープン

メディアの垣根を超えた「メディア用ポケット」

 今回のノートPCの新製品LaVie T/Cシリーズの特徴の1つに,MGメモリースティックとSDメモリーカードという異なるメディアを1スロットで扱うことができる「メディア用ポケット」がある。これは,2種類のメディアそれぞれの専用スロットを用意するのではなく,アダプタを介して1スロットで2種類メディアを利用するというもの。


LaVie Tのメディア用ポケット。MGメモリースティックやSDメモリーカードは専用のアダプタを介して利用

 ソニーが推し進めるMGメモリースティックと,松下を中心としたSD陣営が旗を振るSDメモリーカード。手のひらに収まるくらい小さなこれらメディア同士が,デファクトスタンダードをめぐって激しい争いを繰り広げている。異なる陣営の両メディアを利用することができるメディア用ポケットは,サードパーティーなら分かるコンセプトだが,大手のNECが打ち出したところに意味がありそうだ。この新インタフェースを採用したことについて,富田氏は「PCと関連機器の連携には,あらゆる組み合わせが考えられる。メモリースティックだけとか,SDメモリーカードだけという対応では,ユーザー本位でない。NECは,ユーザーがどんなメディアの機器を選ばれても対応していこうという方針から,このような選択になった」と語る。


LaVie Cのメディア用ポケットは,キーボード上部にある

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[西坂真人, ITmedia]

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