News | 2001年7月27日 11:59 PM 更新 |
デジタルカメラ市場は相変わらず元気がいい。ショップや展示会,イベント会場などでは,デジカメコーナーに,いつも人だかりができている。昨年は全世界出荷台数が1000万台を突破し,対前年比でも倍増(103%増)という驚異的な伸びを示している。2005年には4000万台に達すると試算するメーカーもあり,この勢いは当分止みそうもない。
デジタルカメラを購入する大きな理由の1つは,「銀塩カメラの代替」だろう。しかし,現在のデジタルカメラの使われ方は,果たして銀塩カメラの代替役をちゃんと務めているのだろうか。
銀塩カメラは,最終的にプリントという形でユーザーの手元にカタチを残す。デジタルカメラもカラープリンタを使ってプリントすることはできるが,PCを介さなければならず,画像の加工修正もめんどうだ。なにより,カラープリンタでの印刷スピードが遅すぎる。サービス版1枚に数分かかっている状況では,なかなか気軽にプリントしようとは思わない。
コダックの堀社長が,先日のデジタルカメラ発表会(7月25日の記事参照)の席で,友人から聞いたという興味深い話しを披露している。
友人の母親――友人は堀社長と同世代というから当然高齢の母親なわけだが,そんなお年寄りがデジタルカメラを購入したという。お年寄りにまでユーザー層が広がっているという状況に「デジタルカメラもそこまで普及したかと感慨ひとしおだった」(堀社長)。 しかし,購入したのはいいが,PCへの転送やプリントが難しかったらしく,結局,友人の母親は銀塩カメラに戻ってしまったという。堀社長によると,デジタルカメラユーザーが撮影した画像をプリントするのは,2割にも満たないという。“カメラ”という名を冠しながら,その役目を全うできていないというのが,デジタルカメラの現状だ。富士写真フィルムの「FDiネットサービス」やコニカの「オンラインラボ」など,フィルムメーカー各社はインターネットを経由してプリント注文ができるオンラインプリントサービスを展開し,デジタルカメラのプリントビジネス促進に力を入れている。
8月1日からコダックが始める新システム「Kodak EasyShareシステム」は,先日発表したと同社のオンラインプリントサービス「Print@kodak」や「PhotoClick@Retail」をシームレスに連携させる新システムとして注目が集まった。
そのコダックの発表があった翌日の26日,マイクロソフトと富士写真フイルムが,デジカメ画像をネット経由でプリントできるサービスで提携し,今秋登場のWindows XPに富士のオンライン写真プリントサービスが搭載されるとの発表(7月26日の記事参照)があった。
初心者ユーザーにも使いやすいウィザード形式でWindows XPに標準で組み込まれることで,オンラインプリントサービスがワンクリックで24時間いつでも利用できる。オンラインプリントのデファクトスタンダードとして,富士のサービスが一歩リードしたのは間違いない。高画素競争は一段落したといわれるが,それでも相変わらず○○万画素をアピールする新製品は多い。マーケットでは,300万〜400万画素タイプでも10万円を切り,売れ筋は6万〜8万円台となっている。高画素モデルで撮影した画像は,ファイルサイズも大きくなる。圧縮率にもよるが,3〜4メガピクセル機では1枚の画像ファイルが1M〜数Mバイトに及んでしまう。
しかし,ストリーミングなど動画や音声配信が,ブロードバンドの目玉といわれているが,巨大な画像ファイルをスムーズに送れる環境が整えば,オンラインプリントサービスも一気に普及する。ブロードバンド時代の到来が,デジカメ新時代の幕開けとなるに違いない。
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