News 2001年8月2日 11:29 PM 更新

「地域密着情報」に目を付けた松下電器(1)

タウン誌の“地域密着情報”に松下電器が目を付けた。データベースに蓄積された地域情報コンテンツを基に,さまざまな情報配信サービスをブロードバンドで提供する計画だ。

 松下電器とタウン情報全国ネットワークは8月2日,動画映像を活用した地域情報サービスの共同開発で合意したと発表した。タウン情報全国ネットワークが保有・管理する全国85万件規模の地域情報コンテンツと,松下電器の映像制作管理技術やデジタル関連技術とを融合した「地域情報の総合データベース」を構築。このデータベースを基に,情報配信サービスを展開する。


動画映像を活用した地域情報サービスを展開

 インターネット普及やブロードバンド時代の中で,タウン誌ビジネスにもインターネット並みの即時性や映像による情報提供が求められているという。タウン情報全国ネットワークの緒方邦博社長は「映像での情報配信が,1番分かりやすく正確に提供できる。地域情報の更新頻度を上げ,動画によるコンテンツ配信を行うには,デジタルネットワークに対応した新しい事業展開が必要」と語る。


「タウン誌ビジネスにも映像による情報提供が求められている」と語る緒方社長

 もともと,地域密着情報を有するタウン誌には,他メディアから情報提供の依頼も多く,放送局の地方取材代行といった業務を以前から行ってきたため,映像配信の下地はあった。しかし,映像編集に関するノウハウも少なく,人材育成や効率的な制作環境といったインフラも整っていない。この部分を,松下電器との協業の中で得たいというタウン誌側の意図がある。

 一方,松下電器の考えはこうだ。デジタルネットワークの普及のためには,地域に根ざした情報が必要となってくる。しかし,インターネットの情報は大都市中心であり,地方で暮らす人にとって必要な情報が得られにくい。また,ネット上に情報があったとしても内容が更新されていないため,古くて使えないケースが多い。つまり,新鮮な地域密着情報がセールスポイントであるタウン誌のコンテンツは,喉から手が出るほど欲しいわけだ。

 「毎日更新される鮮度の高い良質な情報が重要。また,本格的なブロードバンドの到来に向けて,動画映像を活用した地域サービスが今後求められてくる」(同社eネット事業本部の前川洋一郎本部長)。

 このような両社の思惑が合致して,今回の協業に結びついた。両社は,既存のテキスト・静止画ベースのコンテンツに動画映像を組み合わせた,分かりやすいデータベースの構築を目指す。特に,動画映像を活用した地域情報サービスが協業の柱となる。動画のデータベース構築にあたって重要となる著作権保護や課金システムといったノウハウは,松下電器が提供する。

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