News 2001年8月21日 10:27 PM 更新

3G携帯のNEC・松下連合――目指すは世界市場

NECと松下が第3世代携帯事業での提携を正式発表した。今回の提携の裏には,開発のコスト削減・期間短縮を図って,現時点で一人勝ちのノキアを追撃,世界シェアを拡大するという狙いがある。発表に臨んだNECの西垣社長は,これで「ノキアを頭一つリードした」と強気だった。

 NEC,松下電器産業,松下通信工業の3社は8月21日,第3世代携帯電話端末の開発で提携することを正式発表した。高速データ通信を特徴とする第3世代携帯電話では,動画像を処理するために端末側に大きな処理能力が必要となり,開発コスト・期間も既存端末に比べ格段に増す。

 NECと松下通信工業はともに,今年5月からNTTドコモが開始したW-CDMA方式の試験サービスに端末を供給している。そのうえで「1社だけで次世代端末を開発するのは困難。協業するのがベストと判断した」と,松下電器の中村邦夫社長とNECの西垣浩司社長は声をそろえた。

ソフトウェアの開発に重点

 今回の提携内容のポイントは,第3世代携帯電話向けソフトウェア・アーキテクチャを共同開発することにある。端末の開発グループは,松下とNECあわせて8000〜9000人規模になる見込みだが,「そのうち5000人はソフトウェア・アーキテクチャの開発に振り分ける。第3世代携帯電話向けソフトウェア・アーキテクチャの規格化・標準化にあたる計画だ」(西垣社長)。

 ソフトウェアの開発に重点を置く背景には,第3世代携帯電話におけるソフトウェア開発負担の増大がある。中村社長は「パソコンのOSのように,携帯電話のOSにも高度な処理能力が要求されるようになり,どんどん巨大になっている。テスト段階でバグを全て除くのは非常に困難。製品投入時には共同で評価試験を行うことで,バグを減らせるはず」と説明する。

 また,携帯電話向けNTTドコモの試験サービスではカメラ付きのビジュアルフォンが提供されているように,第3世代携帯電話ではビジュアルコミュニケーションが目玉として期待されている。ただ,この種のアプリケーションは「数あるアプリケーションの中でも,ソフトウェアの開発に多大なリソースが必要」(西垣社長)で,その負担軽減が課題となっている。

 こうしたことを考えると,第3世代携帯電話を開発する両者が手を組むことは,必然だったともいえる。「ソフトウェアアーキテクチャに関して,松下とNECで分担を取り決める。単純に考えて,作業を二分すれば開発期間・コストは半分ですむ。新製品の投入サイクルが短い携帯電話ビジネスでは大きなアドバンテージになる。日本人の特性として,大型ソフトウェアを分担して開発する能力に優れているはずだ」(西垣社長)

 なお,NECと松下が開発するのは,あくまでソフトのコア部分に限られる。「アプリケーションレイヤーなどは各社が独自に開発する。両社から同じ製品が登場するわけではない」(同社長)。

 また,提携内容に含まれるのは端末の開発についてのみであり,現時点では生産・販売については独自に行う計画だ。また,ハードウェアについては「チップセットなど,相互に供給できるものがあれば,可能性について話し合っていきたい」(NECネットワークカンパニーの杉山峯夫社長)としている。

対ノキア連合

 今回の提携の大きな狙いには,世界市場への進出がある。

 「今回の提携について,松下との話し合いは昨年の秋頃から開始された。ほかの企業からもオファーはあったが,“海外でともに戦う”という方針が一致したのは松下だけだった」(杉山社長)

 NEC・松下連合では,今回の提携に基づく最初の製品をまず欧州から投入する計画だ。「欧州では,GSM/GPRSのデュアル端末といった2.5世代の製品も投入する。3G(UMTS)も2.5Gとのデュアルになる見込みだが,マルチブラウザの実現などチャレンジは多い」(西垣社長)。なお,欧州では2002年頃の第3世代携帯電話の導入が予定されている。

 ただ,欧州でのシェア拡大は容易なことではない。現在,世界の携帯電話機市場でトップのシェアを持つのはノキア(30.6%)。2000年度の実績では,国内1位の松下通信(5.2%)と2位のNEC(3%)のシェアを合わせても,ノキアの3分の1程度にしかならない。さらにノキアは,単なる端末メーカーではなく,第3世代携帯電話通信システムのサプライヤでもあるという強みを持つ。

 しかしながら西垣社長は,「要素技術では,世界に先駆け試験サービスを行っているNECと松下が先行している。ノキアを頭一つリードしている。グローバルに通用する製品を開発していく」と強気だ。

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[中村琢磨, ITmedia]

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