News 2001年8月27日 11:36 PM 更新

Xbox,本体は出遅れも,タイトル制作は順調?(2)

 「ようやくここに来て,自信を持って紹介できるソフトがそろってきた」(同氏)。

 各社とも,Xbox用タイトルの開発は順調に進んでいるようだが,カプコンの第二開発部長の稲船敬二氏は,その理由を「プレイステーション2(PS2)で開発に苦労しただけに,みんな逞しくなった。スケジュールを1カ月ぐらい前倒しするペースで進んでいる」と説明する。

 また稲船氏によれば,幻魔 鬼武者は「PS2版の焼き直しなどではない」。「PS2では多くのユーザーが楽しめるように,難易度を下げざるをえなかったが,Xboxでは,敵キャラも魂を吸えるなど,ゲーム性を変えてしまうほどの仕掛けがある」(同)。

 また,ナムコの原口氏も「Xbox向けに全く新しい試みのアクションアドベンチャーを開発する」とアピール。Xboxには「真・女神転生 On Line」(仮称)を投入予定であるアトラスの岩田松雄社長は「ネットワークを利用してゲーム性を拡大させたい」とXboxに対する熱意を語った。

 なお,10月12日に幕張メッセで開幕する「東京ゲームショウ2001秋」で,出展社の中で最大規模のブースを構え,来場者が実際にプレイできる環境を用意するという。

 また,大浦氏によれば,Xbox用タイトルの中心価格帯は6800円程度になるもよう。来年2月22日の発売時には12〜20タイトルが同時発売になる見込みだ。

“体験”は本当に変わるのか?

 「オリジナルの大作がない」と指摘されることもしばしばのXboxだが,ゲームメーカー各社ともXboxの能力を引き出すためにさまざまな工夫をしており,期待できそうなタイトルも多い。

 さらに,マイクロソフトは,プロジェクトを対象とした投資ファンド「東京マルチメディアファンド」を運営するジャパン・デジタル・コンテンツ(JDC)と共同で,独立系ソフトハウス向けにXbox対応タイトル支援プログラムを展開する。ゲームの企画がマイクロソフトとJDCの審査を通過した場合,JDCからの資金供給やマーケティング支援を受けられるほか,マイクロソフトからはXbox開発キットが貸与される。

 国内のXboxプラットフォーム拡大に向け,着々と準備を進めるマイクロソフトだが,大浦氏の言うように,Xboxは本当にゲームの“体験”が変わるほどのものなのだろうか。

 あるゲーム業界関係者はXbox用のタイトルについて,「どこまでポリゴンが出せるのか試したくなるほど,性能は素晴らしい。ただ,ある一定の段階までくると,“分かる人にしか分からない”という状態になる。つまり,よっぽどのゲーム好きでなければ,XboxもPS2でも,見た目はほとんど変わりがないのだ」と話す。

 大浦氏は,Xboxのグラフィック性能を堪能するには,HDTVがベストだと言う。「XboxはD2端子に出力することができる。HDTVで観たXboxの映像はまさに新体験だ。さらに,リアルタイムに5.1chのドルビーデジタルサラウンドをデコードできるゲームコンソールは,Xbox以外には見当たらない」(同氏)。

 また,Xboxの目玉となるネットワーク関連の機能については,「東京ゲームショウまでに別途発表の機会を設ける」(大浦氏)とのことで,「常に感動を与えられるようにしたい」と“におわす”にとどまった。

 Xboxは,10/100BASE-TXインタフェースを標準装備しており,真・女神転生 On Lineのようなネットワークゲームは大きな人気を集めるはず。次回の発表に期待することにしよう。

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[中村琢磨, ITmedia]