News | 2001年8月28日 01:45 AM 更新 |
このパフォーマンス低下を可能な限り減らそうとするのが,「フレキシブル・メモリ・リフレッシュ」という新搭載機能で,優先順位の低いメモリ動作の間にメモリのリフレッシュを行う。この他,マルチタスク性能向上のためにSDRAMへのアクセスを高速化する24オープン・メモリ・ページや12段のIOQ(イン・オーダー・キュー)など,「メモリの帯域幅を最大限に有効活用する」(インテル)ための手段が講じられている。
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845チップセットの構成図。Intel 850と同様,ハブアーキテクチャを採用するが,製造プロセスは0.18μmとなる。I/OコントローラハブはICH2のまま。メモリはPC133 SDRAMのみに対応し,PC100はサポートしない |
また,845チップセットは,ポストSDRAMとして最有力のDDR SDRAMにも対応する予定だが,「今年のメモリトレンドはSDRAM。DDRの本格的な立ち上がりは来年以降になる」という見方から,インテルのロードマップでは,DDR対応は2002年上半期に置かれている。
インテルでは,DDRのサポートに向け,既に仕様の標準化作用に着手しており,「Intel DDR200 追加仕様リビジョン1.0」を作成済み。現在は,メモリサプライヤーと共同で「Intel DDR266追加仕様」を検討している。これは今年後半にリビジョン1.0がリリースされる予定だ。
SDRAMをサポートするIntel 845チップセットの登場で,Pentium 4が舞台をメインストリーム市場に移すのは確実だ。だが,インテルの“メインストリーム作戦”はそれで完了するわけではない。同作戦の最終的なミッションは,コンシューマーの買換え需要を喚起することにある。
だが,PC業界を取り巻く状況は,非常に厳しい。電子情報技術産業協会(JEITA)の発表では,2001年度第1四半期の国内PC出荷実績は前年同期比2%増と低調(8月2日の記事参照)。世界市場では15年ぶりに前年割れするのではという見方もある(8月25日の記事参照)。
インテルの計画をさらに困難なものにみせるのが「現状ではそこまでのパフォーマンスは必要ない」という,Pentium 4プロセッサに対するユーザー側の一般的な受け止め方だ。この疑問に対する,インテルの回答は次のようなものだ。
「Pentium II/450MHzとPentium III/500MHzのベンチマークテストを比べると,MP3エンコーディングで71%,ビデオエンコーディングでは41%の差がつく。Pentium IIIが登場した2年前では,両CPUにこれほどの“差”はなかった。Pentium IIIの性能を必要とするアプリケーションがなかったからだ。だが,2年後には,十分なヘッドルームを持っていたPentium IIIプロセッサの性能が発揮された」(インテル)
「現在の状況は,Pentium IIIプロセッサ発売直後と似ている。あのときも,多くのメディア関係者はPentium II搭載マシンで能力的には十分だと報道した。しかし,当時,Pentium III搭載機を購入したユーザーは,現時点で高い投資回収効果を得たことになる」(同)。
確かに,インテルの言う通りかもしれない。今パソコンを買うとして,Pentium IIIかPentium 4かで迷っているのであれば,845チップセットを搭載したPentium 4マシンが“正解”なのだろう。だが,この議論にはちょっとした落とし穴がある。今,ユーザーの注目はデスクトップPCではなく,ノートPCに向いているからだ。果たしてユーザーが,インテルの思惑通りにデスクトップの買い替えをしてくれるかどうか――Pentium4+845チップセットでデスクトップPCの買換え需要を喚起する,というインテルの戦略は,もしかすると“ミッション・インポッシブル”なのかもしれない。
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