News 2001年9月12日 11:59 PM 更新

ソニー,Net MD対応オーディオ新製品を発表(2)

 PCを介さなくても本体単独でCDからMDへ最大4倍速での高速録音や再生ができる。また,CD-DAフォーマットで記録された音楽用CD-R/RWの再生にも対応する。

 本体表示ディスプレイは,漢字やひらがなの表示ができるため,PCで入力した日本語タイトルが本体で確認できる。実売は,LAM-1が4万5000円前後,LAM-Z1が6万円前後になるという。


MDデスクトップオーディオシステム「Sound Gate」

 ミニディスクデッキ 「MDS-NT1」は,PCの周辺に省スペースで設置できる幅150ミリのコンパクトサイズ。本体前面には,再生/先送りボタンと停止/イジェクトボタンのみというすっきりとしたレイアウトとなっている。 音声出力端子を装備しているので,アンプ内蔵スピーカーやヘッドホンで再生を楽しむことも可能だ。実売価格は3万円前後の予定。


ミニディスクデッキ 「MDS-NT1」

 そのほか,3次元形状のスピーカーを採用し,CDからMDへの倍速録音,付属ソフト「M-Crew」でMD以外の音源がPCで制御できるコンパクトコンポーネントシステム「キューブリック(CMT-C7NT)」も発表された。実売は7万5000円前後になるという。


コンパクトコンポーネントシステム「キューブリック」

 CDやネットで配信されている音楽データをPCに取り込み,デジタル接続でMDに転送することは,著作権上の問題からこれまで不可能だった。しかし,PCからMDへの録音ができる「USB/光デジタル信号変換機」が売れているように,PC上の音楽データをなんとかして従来のオーディオに取り込もうというニーズは高い。特にATRAC/ATRAC3という音楽圧縮方式を採用しているMDでは,音質劣化のないデジタル接続で音楽データを記録したいという声が多かった。

 Net MDは,同社の著作権保護技術「OpenMG」と「MagicGate」を採用。OpenMGで暗号化した音楽データをPCのHDDに記録し,PCからMDへのデジタル転送では,MagicGateでPCとMD機器間の認証を行っている。また,SCMS(Serial Copy Management System)により,2世代以上のデジタルコピーも防止できる。これらの著作権保護技術によって,音楽データをデジタルでやり取りする際に危惧されていた不正コピーを防止できるというわけだ。


著作権保護技術によって,音楽配信サービスにも対応

 ソニーマーケティングの小寺圭社長は「常に情報がウェアラブルな“ユビキタスネットワーク”がソニーが進もうとしている方向。単に製品を売るのではなくネットワークにつながることによってどんな新しい楽しみが増えてくるかというのをマーケティングの基本としてきた」と語る。


「“ユビキタスネットワーク”がソニーが進もうとしている方向」と語る小寺社長

 Net MDという新規格は,単にMDへデジタル音楽データを転送できるという側面だけではなく,ブロードバンド時代の到来で注目される音楽配信ビジネスにこそ大きく期待されるところだ。

 1992年11月に発表したMDは,今やオーディオメディアの代表格に成長して,今年は890万台のハードと2億枚のメディアの出荷が見込まれているという。

 デジタルメディアとして確立し,すでに多く普及している成熟商品のMDと,音楽配信というこれからのビジネスが,Net MDで結ばれることで大きな相乗効果が期待できる。

 「新しい音楽配信の世界,その答えがNet MDだ。ブロードバンドという新しいネットワーク環境の中でNet MDのような商品が出ることで,音楽配信ビジネスが急速に活性化していくだろう」(小寺社長)。

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[西坂真人, ITmedia]