News | 2001年9月21日 11:59 PM 更新 |
さる9月6日,ソニーとSanDiskはメモリースティック事業で提携すると発表(9月6日の記事参照)した。この提携により,ソニーはSanDiskにメモリースティックを供給し,SanDiskは自社ブランドでのメモリースティック販売を始めることになった。
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SanDisk製メモリースティック |
幕張メッセで開催されているWORLD PC EXPOで,この件に関する記者発表を開いた同社の青木芳夫社長は「10月末か遅くとも11月中には世界同時出荷となる」とメモリースティック発売時期を明らかにした。
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「メモリースティックの発売時期は10月末〜11月」と青木社長 |
コンパクトフラッシュ,MMC,SDメモリーカードとラインアップを広げてきた同社は,昨年9月よりスマートメディアの製造・販売を開始。市場に流通する小型メモリーカードの中では,メモリースティックだけがサポートされていなかった。
今回の提携によって,SanDiskのフラッシュメモリ製品群にメモリースティックが加わった。これで,デジカメや携帯デジタルプレーヤーなどで使われている小型メモリ規格の実質的にすべてを同社が扱うことになった。
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WORLD PC EXPOの同社ブースでも,小型メモリ製品群を展示していた |
同社によると,昨年のフラッシュメモリ市場のシェアは,トップがSanDiskで30%,続いて15%のソニー,14%の東芝だった。このうち,3位の東芝とはSDメモリーカードで提携関係を築いているので,「昨年はフラッシュ市場の半分は東芝とSanDiskで押さえていた」(青木社長)。今回のソニーとの提携によって,フラッシュメモリ市場の約6割を占める上位3社が手を組んだことになるわけだ。
さてこうなれば,小型メモリの規格統一もしやすくなる――はずだが,3社を見ると,ソニーはもちろんメモリースティック推進で,一方,東芝はSD陣営。となれば当然,両陣営に足を突っ込んだカタチとなるSanDiskの動向が気になってくる。
実際のところ,同社はどのメディアに期待しているのか。小型メモリ規格に対する青木社長のコメントを拾ってみよう。
「“コンパクトフラッシュ”は,我々が提案したもの。デジカメ用として数多くの大手メーカーに採用されており,需要は当分あると見込んでいる」。
「携帯電話など小型の情報機器で使うにはコンパクトフラッシュでも大きすぎるという欧州メーカーの声などもあって,“MMC”というフォーマットをシーメンスとともに提案してきた」。
「“SDメモリーカード”はMMCの兄弟として位置付けている。携帯情報機器では,SDやMMCが今後も使われていくだろう」。
「“スマートメディア”もやってはいる。富士やオリンパスのデジカメ需要でこれからもしばらくは続ける」。
(さすがに)スマートメディアへのコメントには微妙なものがあるが,その他3つはほぼ平等。要するに,需要が大きいデジカメ市場向けにはコンパクトフラッシュとスマートメディアをしばらく続ける。そして,より小型の携帯情報機器では,SDとMMC双方に期待しているというわけだ。
それでは,メモリースティックの位置付けはどうなるのか。
メモリースティックのサイズは,コンパクトフラッシュよりは小さいものの,切手サイズのSD/MMCよりは大きい。しかし,メモリースティックには次世代小型メモリ規格の「メモリースティックDuo」もある。DuoはSD/MMCよりも小さく,サイズ的にも携帯情報機器に十分対応していける。
この点について青木社長は「今回の提携でも,Duoが契約条項に盛り込まれている。ただ,どういうカタチで販売していくかは未定」とコメントしている。
同社はもともと,フラッシュメモリのサプライヤーとして,規格を問わずに製品を供給していくというスタイルを貫いてきた。
「ずるい言い方かもしれないが,カードメーカーとしてはさまざまなハードが登場して,全体で市場を大きくしていってもらえればよいと思っている。“SD対メモリースティック”ということでどちらかに傾くというよりも,ニュートラルな立場をとっていきたい」(青木社長)。
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