News 2001年10月30日 11:59 PM 更新

ブロードバンド時代に無料ISPは生き残れるのか──ライブドア社長に聞く

無料ISPが軒並み失速するなか,一人気を吐くライブドアだが,ブロードバンドの普及は,ダイヤルアップ接続サービスを提供する同社にとって痛手ではないのだろうか? 同社のTheodore W. Miller社長は,「ブロードバンドが全てではない」と語る。

 無料ISPブームが過ぎ去り,今でも勢いを保っているのはライブドアぐらい。しかしながら,インターネット広告市場の低迷やブロードバンドインターネットの普及など,同社を取り巻く環境は厳しいはず。ライブドアはこのまま無料ISPの“勝ち組み”として生き残ることができるのだろうか? ライブドアのTheodore W. Miller社長に話を聞いた。


ライブドアのTheodore W. Miller社長

News:インターネット広告市場が低調ですが。

Miller::まず最初に断っておくと,ライブドアのビジネスは,広告収入だけで成り立っているわけではありません。

 広告のほかに,通信キャリアから入るキックバックがあります。ライブドアは,日本テレコムや東京通信ネットワークなどのアクセスポイント(AP)を使っているのですが,ユーザーがこれらのAPを使うと,ライブドアに回線使用料の一部が還元される仕組みになっています。ライブドアの100万人のユーザーがAPを使うわけですから,通信キャリアにとっても大きなメリットがあります。

 ほかにも,ドメイン登録/URL転送サービスなど有料のサービスも展開しています。電子商取引分野は柱として成長させたい分野で,大手電子商取引企業との提携も視野にあります。要するに,リスクを分散させ,広告収入が減少しても持ちこたえる仕組みを用意しているわけです。

ZDNN:通信キャリアからのキックバックが,広告収入の減少を補っているというわけですか?

Miller::違います。広告収入は減っていません。ライブドアでは専用のアクセスソフトを使っており,インターネットにアクセスしている最中はずっと広告が露出します。また,ターゲティング広告も展開しているので,その辺りが評価されている理由ではないでしょうか。ただのバナーだけでは厳しいですよ。

 一方,通信キャリアからのキックバックは,ユーザーが増えれば増えるほど,アクティブなユーザーが多ければ多いほど増えていきます。年末には利用者が150万人になると見込んでおり,収入源としては広告収入に匹敵する規模になることは確実です。なお事業計画としては,2002年12月までに単月黒字,ならびに通期での黒字化を目指しています。

ZDNN:年末に150万ユーザーですか。

Miller::ハイ。ブロードバンドインターネットが普及すればライブドアのユーザーは減ると見る人もいますが,今のところYahoo! BBの影響もほとんどありません。ADSLを利用し始めても,ライブドアのメールサービスを使っていたりと,複数のISPを使う人が多いからでしょう。

ZDNN:ISP各社はブロードバンドに注力していますが

Miller::必ずしも正しい選択とは限らないのではないでしょうか。全てがブロードバンドになるとは思いません。選択肢が1つしかないというのもおかしなものです。ライブドアでは,ダイヤルアップインターネットから,ブロードバンドに入っていくユーザーも少なくないと見ています。むしろ,ブロードバンドに全財産をかけるISPのほうが,ダイヤルアップという大事な市場を見捨てているのではないでしょうか。

 また,Yahoo! BB以降,ADSLの料金が一気に下がりましたが,ちょっとやりすぎのように見えます。気になるのは,収益構造がどうなっているのかという点。あの値段では,利益を出すのは難しいはずです。

ZDNN:ライブドアはブロードバンドはやらない?

Miller::決して,ライブドアがブロードバンドを切り捨てているわけではありません。ブロードバンドサービスについては,ずいぶん前から社内でも調査,検討を行っています。問題は,いつ,どうやってやるかということです。ただ今のところは,ブロードバンドではなく,PIAFS対応の強化に注力しています。東京にもPIAFSのAPを開設しました。

ZDNN:ブロードバンドサービスを開始する時は,やはり無料なのですか?

Miller::現在の状況を見る限り,無料でサービスを行うというのは非常に厳しいです。「プレミアサービス」の1種として有料で提供することになると思います。

ZDNN:無料ISPではなくなってしまうのですか?

Miller::ライブドアは無料ISPとしてプロモーションを図ってきましたが,われわれの目指すところは,“インタラクティブマーケティングカンパニー”です。100万人以上の会員は,ライブドアのコンソールソフトを利用してインターネットに接続しているため,容易に行動を追跡することができます。そのデータを利用して,高度なパーミッションマーケティングを行おうというわけです。

 ライブドアにとって重要なのは,「ユーザーが何を欲しているか」ということに集約されます。そのため,無料ISPにこだわるつもりもありませんし,それだけが事業の全てというわけでもありません。社名にも無料ISPを連想させる言葉も入っていませんよね(笑)。

(文中敬称略)

関連記事
▼ ライブドア,ドメイン登録サービスを開始
▼ ライブドア,APをPIAFS対応に
▼ 5年後には会員数1000万人――ライブドア

関連リンク
▼ ライブドア

[中村琢磨, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.



Special

- PR -

Special

- PR -