News 2001年10月30日 07:22 PM 更新

Ultra320 SCSI普及に向け,MaxtorとAdaptecが協力

HDD大手のMaxtorと,SCSI規格変遷とともに歩んできたAdaptecとが手を取り合って,次世代SCSI規格を広く普及させようとしている。対応製品の登場は,来年第1四半期となる見込みだ。

 MaxtorとAdaptecは10月30日,両社の次世代SCSI規格「Ultra320 SCSI」製品においてインタオペラビティ(相互運用性)実現のための協力関係を発表した。

 Ultra320 SCSIは,従来のUltra160 SCSI(最大転送レート160Mバイト/秒)に代わるSCSI規格だ。最大転送レートはシングルチャネルで320Mバイト/秒。デュアルチャネルコントローラを使用した場合は640Mバイト/秒の高速転送レートを可能にする。

 このような高速インタフェースゆえに,高度な信号補正機能といった最新技術や製品同士の互換性が重要になってくる。HDD大手のMaxtorと,SCSI規格変遷とともに歩んできたAdaptecとがしっかり手を取り合って,次世代規格を広く普及させていこうとしているわけだ。

 例えば,MaxtorがすでにリリースしているUltra320 SCSI対応HDD「Atlas 10K III」には,信号品質をより低いエラーレートに最適化させ,バス効率とシステム性能を向上させる技術「Adaptive Active Filtration(AAF)」が採用されている。このAAFによる信号補正を行うことによって,良好な信号波形が得られ,320Mバイト/秒もの高速転送が可能となる。


右がAAFによる補正を行った信号波形。理想的な波形に近づいている

 そのほか,データ信号とクロック信号との間に,わずかでも信号のスキュー(時間差)が生じるとエラーが発生してしまうなど,シビアな環境が多く,製品化にはHDDメーカーとコントローラ(ホストアダプタ)メーカーとの連携が不可欠となっている。

 現在,MaxtorのほかIBM,Seagate,富士通などHDDメーカーがUltra320 SCSI規格対応HDDを発表もしくは発売しているが,同規格のSCSIホストアダプタが発売されていないので,現時点ではUltra160 SCSIでしか使えない。


MaxtorのAtlas 10K IIIも,現時点ではUltra320 SCSIの恩恵を受けられない

 しかし,AdaptecのLinus Wong氏は「2002年の第1四半期より,シングルおよびデュアルチャンネルのASICを出荷し,あわせてホストアダプタ,ZCR,RAIDコントローラなどを同時期に順次出荷する」と,Ultra320 SCSI製品の正式リリース時期を明らかにした。

 都内で行われた技術説明会の会場には,Adaptecが開発中の評価ボードが展示されていた。コントローラにAIC-7902を搭載しており,デュアルチャンネルによるハードウェアミラーリングに対応する。インタフェースは高速なPCI-Xバスとなっている。


Adaptecが開発中の評価ボード。コントローラにAIC-7902を搭載している

 Maxtorサーバ・プロダクツ・グループ担当副社長のJohn Joseph氏は,「Ultra320 SCSIによって“テクノロジ・リーダーシップ”や“優れた品質と堅牢性”,“クラス最高のパフォーマンス”をユーザーに提供できる」と,その優位性をアピールした。


Ultra320 SCSIの優位性を語るJoseph氏

 さて,ULTRA320 SCSIの市場だが,どのくらいのニーズがあるのだろうか。

 「コンパック,デル,日立,NECといった大手のOEMメーカーが採用し始めれば,急速に需要が増え,普及も進む。来年は,ULTRA320 SCSIがパフォーマンスの象徴となり,システムに必要不可欠なフューチャーとなる。とくにRAIDシステムではニーズは高いだろう」(Joseph氏)。

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関連リンク
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[西坂真人, ITmedia]

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