News 2001年11月6日 11:55 PM 更新

“癒し系”虫型ロボットからDataSlim次期モデルまで――Linux腕時計だけじゃない「CITIZEN FORUM 21」

シチズン時計のプライベートショウ「CITIZEN FORUM 21」では,腕時計型コンピュータ「WatchPad」以外にも,虫型ロボットやDataSlim次期モデル,ポケットボード型サーバなど見どころが満載だ。

 シチズン時計は11月6日,新製品・新技術を集めたプライベートショウ「CITIZEN FORUM 21」を開催した。IBMとの共同開発による腕時計型コンピュータ「WatchPad」が話題を集めた(詳細は別記事参照)が,そのほかにも,虫型ロボットやDataSlim次期モデル,ポケットボード型サーバなど見どころが満載だ。

 まず,会場入り口で注目を集めたのは,腕時計のムーブメントを使った虫型(?)ロボット「Eco-be!(エコ・ビー)」。年内に商品化予定の,“癒し系”商品だ。本体上部にある太陽電池で作られた電力のみを動力源にしている。展示モデルは太陽電池部分に時計を装備していたが,製品版では太陽電池のみになる予定だ。


腕時計のムーブメントを使ったEco-be!(動画を見る・約750Kバイト/mpeg1形式)

 本体に同社腕時計「エコ・ドライブ」用ステッピングモータを2個使い,それを腕時計の100倍という1万2000回転/分のスピードで回転させている。このムーブメントは,モノにぶつかったりといった衝撃が加わると瞬時に逆回転を始める。

 センサー制御ではなく,機械的に行っているのが時計メーカーらしいところだ。2個のモーター両方が反応した場合は逆走するのだが,片方のモーターだけだとその場で回転を始めるといった具合に,簡単な機構ながらユニークな動きを見せる。

 明るい所ではユニークな動きを繰り返し,暗くなると休息を取るがごとく動かなくなる。「何かの役に立つというわけではないが,そのことが“癒し”につながる。価格は未定だが,4000円前後になる見込み」(同社)。


役に立たないことが“癒し”につながる?!

 部品ゾーンには,このEco-beの動力源を太陽電池からマイクロ熱発電素子に変えた「サーモビートル」も展示されていた。これは体温と外気の温度差を動力源に変える熱発電腕時計「エコ・ドライブ サーモ」に使われた技術で,温度差を与えると電圧を発生するゼーベック効果を利用している。展示されたサーモビートルは,65度に熱せられた場所で力強く動いていた。


マイクロ熱発電素子を動力源にした「サーモビートル」

 情報機器ゾーンでは,DataSlimの次期モデルも参考出展されていた。現行モデルではPCカードスロットを介してPCとの同期を行っていたが,次期モデルでは本体に315MHzの微弱無線システムを装備。USB接続タイプのクレードルにも同システムを内蔵しており,クレードルを介してPCとワイヤレスで同期をとることができる。もちろん,クレードルに直接置いて高速同期(1.5Mbps)させることも可能だ。


微弱無線でワイヤレス接続を可能にしたDataSlimの次期モデル

 本体サイズは厚さが6.5ミリで重さは約40グラム。液晶はQVGA(320×240ピクセル)のモノクロ16階調で,写真も表示できる。電源はリチウムイオン充電池を内蔵し,クレードルで携帯電話のように充電が行える。CPUは32ビットRISCチップ(ARM7,10MHz)を採用し,メモリーは4Mバイトを搭載している。

 価格や発売時期は未定だが「DataSlim2と同程度(2万5000円前後)にしたい。来年中の発売を目指す」(同社)という。


QVGA16階調で写真の表示も行える

 同社は小型精密機器技術を生かして,さまざまなOEM製品を手掛けている。NTTドコモのヒット商品「ポケットボード」が同社製というのは有名な話だ。

 そんな小型化技術を生かしたポケットボードタイプの小型サーバ「Party's Link」が,会場で注目を集めていた。小規模コミュニティ向けのグループウェア専用端末で,携帯電話を介してスケジュール設定や空き時間確認などが行える。背面にLANカードやP-in Comp@ctなどが使えるCFスロットを装備している。


ポケットボードタイプの小型サーバ「Party's Link」

 グループウェアといっても企業向けではない。「PTAの内部連絡やマンションの管理組合といった小規模グループのコミュニケーションツール」(同社)として利用する一般ユーザー向け商品だ。あらかじめグループウェアソフトを内蔵してあるため,初心者でも簡単にサーバ環境を構築できる。まさに,“ポケットボード感覚”というわけだ。「複数ユーザーの予定表が,iモード端末などから気軽に確認できる。使いやすさをアピールするために,ポケットボードのような小型タイプにした」(同社)。


iモード端末から仲間同士のスケジュールが気軽に確認できる

 展示会では,グループ企業17社からの出展も行われた。その1社である狭山精密工業は,PC制御によって手話を行うロボットハンドを展示していた。


手話ができるロボットハンド。写真の手話は「I LOVE YOU」を表す(決して“ぐわしっ!”ではない)

 これは同社が多角化事業の一環として取り組んでいる小型モータの精度を紹介するためのデモンストレーションだ。腕時計部品事業で培った精密加工技術が生かされている。

 ロボット製作を目指しているのではなく,もちろん芸手(ゲーテ)のような玩具事業を狙っているわけでもない。「ただ,正確な制御を目指す我々の小型モータは,もちろんロボットにも応用できる」(同社)。

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[西坂真人, ITmedia]

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