News 2002年2月19日 08:49 PM 更新

次世代大容量光ディスク規格「Blu-ray Disc」――その中身は?(1)

ソニーや松下電器産業,蘭Philipsなど国内外の大手エレクトロニクスメーカー9社が,青紫色レーザーを使った次世代大容量光ディスク規格「Blu-ray Disc」を発表した。RAM方式が先行発表されたのが特徴。ただ,発表メンバーの中にはDVD Forumの有力メンバーである東芝の姿がないなど,今後の展開には紆余曲折も予想される。

 ソニーや松下電器産業,蘭Philipsなど国内外の大手エレクトロニクスメーカー9社は2月19日,次世代大容量光ディスクビデオレコーダー規格「Blu-ray Disc」を策定したと発表した。波長405ナノメートルの青紫色レーザーを使って,CDやDVDと同じ大きさの光ディスクに最大27Gバイトの映像を録画できる。


「Blu-ray Disc」のロゴマーク(上)。使われる光ディスクはカートリッジ方式を採用(下)

 都内で行われたBlu-ray Disc規格策定の発表会には,ソニー,松下電器産業,パイオニア,日立製作所,シャープの国内5社と,欧州のロイヤル フィリップス エレクトロニクスとトムソン マルチメディア ジャパン,そして韓国のLG電子ジャパンと日本サムスンといった国内外のエレクトロニクスメーカー9社が臨んだ。


Blu-ray Disc規格策定発表会に臨む9社

 会見の冒頭,ソニー執行役員専務の高篠静雄氏は「Blu-ray Discは,CDやDVDと同じ大きさの直径12センチの光ディスクに,デジタルハイビジョン放送を2時間以上録画できる画期的なもの。デジタル放送やブロードバンド普及によるインターネット環境の拡大など,デジタル化が急激に進んでいる。大量のデジタルコンテンツが家庭に訪れる時代を目前にし,大容量記録,簡便な操作性,安全かつ確実な保存といったニーズが切望されていた」と,新規格策定の背景を語った。

 今回のBlu-ray Disc規格では,書き換え可能な「Blu-ray Disc リライタブル」(仮称)というRAM方式が先行して発表された。CD-ROMやDVDなどこれまでの光ディスク方式では,まずROM方式が登場し,後からRAM方式が出てくるというパターンとなっていただけに,RAM方式の先行は興味深いところだ。

 松下電器産業代表取締役専務の三木 弼一氏は「記録側から先行したが,将来的にはPC用データストレージやハイビジョン映像ソフトといったアプリケーションの可能性も広がってくる」と語る。

 RAM方式の先行は,デジタルハイビジョン放送の記録を可能にする次世代ビデオ記録メディアの早急な開発が求められていたという背景がある。そのため,Blu-ray Discではデータサイズの大きなデジタルハイビジョン放送にも対応できる大容量記録が最大の特徴となっている。

 CDやDVDと同じ大きさとなる直径12cmの書き換え可能な相変化光ディスクの片面に,DVDの約5倍の容量となる最大27Gバイトとの映像データを記録可能。「デジタルハイビジョン映像であれば,高画質のまま2時間以上記録することができ,標準画質では13時間以上記録することができる」(三木氏)。

 大容量を可能にしたのが,青紫色レーザーとそれに伴う高密度化技術だ。Blu-ray Discでは,405ナノメートルという短波長の青紫色レーザーを用いる。レーザーを集光する対物レンズの開口数(NA)を0.85とすることにより,光スポットを微小化。従来のDVDに比べて,光スポットの面積は約1/5となる。




Blu-Ray Discの高密度化技術

 また,レンズの高開口化に対応した光透過保護層の厚さが0.1ミリのディスク構造を採用することで,ディスクの傾きによる収差を低減し,読み取りエラーの低減や記録密度の向上を図っている。これにより,ディスクの記録トラックピッチをDVDの約半分の0.32マイクロメートルに微細化し,ディスク片面で最大27Gバイトの高密度記録を可能にした。



青紫色レーザーと高NA対物レンズによって,光スポットの面積がDVDに比べて約1/5となっている

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