News 2002年2月22日 11:59 PM 更新

発売前にさわってみました――シャープの“ケータイビデオ”MT-AV1

シャープが発表した携帯AVプレーヤー「ポータブルAVプレーヤー MT-AV1」。手のひらサイズに3型のTFT液晶を搭載し,MPEG-4形式の動画を持ち運んで楽しめる注目の新製品を,発売前にレビューしてみた。

 シャープが2月7日に発表した携帯AVプレーヤー「ポータブルAVプレーヤー MT-AV1」。手のひらサイズに3型のTFT液晶を搭載し,MPEG-4形式のムービーを持ち運んで楽しめる“ケータイビデオ”だ。オープン価格だが,市場予想価格は4万円前後となっている。

 3月2日の発売前(発表当初は2月23日発売とアナウンスされていたが変更された)に実機を試すことができたので,話題の新コンセプト商品のファーストインプレッションをお届けする。


手のひらサイズの“ケータイビデオ”MT-AV1


3型LCDは視野角も広い

 MT-AV1はMPEG-4エンコーダを内蔵しており,NTSCビデオ出力端子を介してTVやビデオデッキの映像を録画することができる。録画接続は,充電器を兼ねた付属のクレードル「AVスタンド」に載せて行う。

 同社では,好きなTV番組をMT-AV1に録画して,通勤・通学など外出先で見ることを提案しているが,ビデオデッキのように予約タイマーが本体に内蔵しているわけではない。家で見れなかった番組こそ,外出先で見たいもの。予約録画ができなければ,魅力も半減だ。だが,大丈夫。MT-AV1は,家庭にあるビデオデッキと連動させることで,予約録画ができるのだ。


充電器を兼ねたAVスタンド。TVやビデオデッキとの接続もこれを介して行う

 その仕組みはこうだ。見たい番組を普通にビデオデッキで録画予約しておき,ビデオデッキのAV出力端子にMT-AV1を付属ケーブルを介して接続しておく。そしてMT-AV1のRECボタンを押すと,ビデオデッキからの映像信号がくるまで待機中となるのだ。この仕組みによって,TV番組の予約録画を実現している。

 本体には64MバイトSDRAMを内蔵しており,外部メモリー用としてSDメモリーカードスロットを備える。

 動画サイズは336×220ピクセルと,QVGAより少し小さいイレギュラーなサイズとなっている。録画モードは,Sファイン/ファイン/ノーマルの3種類があり,各モードで録画できる時間が変わってくる。

 録画モードの仕様は以下の通り。

録画モード Sファイン ファイン ノーマル
本体メモリー 約15分 約30分 約55分
SDメモリーカード(128Mバイト) 約33分 約66分 約120分
録画フレーム数(毎秒) 約15フレーム 約10フレーム 約7.5フレーム

 毎秒15フレームのSファインで録画すれば,コマ落ちを気にすることなくキレイな映像を楽しむことができるが,その分,大容量のメモリーが必要となる。データサイズが約1/4となるノーマルは,フレームレートが半分となってコマ落ちが目立つだけでなく,高圧縮による画質の劣化も気になってしまう。

 同じ映像ソースをSファインとノーマルとで録画し,両モードを比較してみた。


録画モードがノーマル(上)とSファイン(下)の映像

 ノーマルモードでは,ブロックノイズが目立って全体的にボヤけた映像となり,歩道橋にある道路標識や住所も読めない。一方,Sファインモードでは映像がクリアになり,標識や住所の文字もかろうじて読めるようになっている。静止画(止まっているシーン)が多い映像ならばノーマルでもなんとか見れるだろうが,TV番組や字幕が入った映画などは,やはりSファインで録画しないと視聴には辛そうだ。

 しかし,Sファインで映画を1本録画しようと思ったら,1枚1万円前後する128Mバイトのメディアが4枚も必要になる。256/512MバイトのSDメモリーカードも登場したが,まだまだ高価だ。コストダウンに向けたメディアメーカーの企業努力を切望する。

 バッテリーは専用のリチウムイオン充電池を使用し,フル充電で1時間の映像再生ができる。2時間前後の映画やTV番組を見ようと思うユーザーには,プラス1時間の延長再生を可能にする拡張バッテリーケース(単4ニッケル水素電池利用)がオプションで用意されている。

 バッテリー寿命の短さが少し気になるが,付属のACアダプタはコンセント部分が可倒式になっており,持ち歩いても邪魔にならないコンパクト設計となっている。


コンセント部分が可倒式になっているコンパクトなACアダプタ

 サイズは約85(幅)×82.5(奥行き)×18(厚さ)ミリの手のひらサイズで,重さは約126グラム(充電池含む)。ちょうど,一昔前のポータブルMDプレーヤーと同じぐらいの大きさだ。某社のそれと比較してみた。


手のひらサイズのボディは,一昔前のMDプレーヤーと同じ大きさ

 本体カラーは「コーラルピンク」「パールホワイト」「アクアブルー」の3色があり,また気分に合わせて装着できる6種類の「フロントパーツ」が用意されている。

 フロントパーツに豹柄や迷彩といったパターンがあることからも分かるように,MT-AV1は若者,特に10〜20歳代の女性ユーザーをターゲットにしている。トレンディドラマや好きなアーティストの映像を録画して,電車の中や学校/オフィスの昼休みなどに楽しむといった提案を行っている。

 モバイルビデオ環境を手軽なスタイルにまとめたMT-AV1は,ポータブルMDプレーヤーのように若者世代に受け入れられるヒット商品となるのだろうか。このようにしてまで持ち歩きたいほどのコンテンツ(番組)が筆者に思い浮かばないのは,もう若くない証拠なのかもしれない。


10〜20歳代の女性ユーザーをターゲットにしたMT-AV1。フロントパーツには豹柄や迷彩も

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[西坂真人, ITmedia]

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