News 2002年2月28日 10:58 AM 更新

いよいよ登場するDVD+R対応ドライブ――“プラス”普及の切り札になるか?(1)

DVDのライトワンス規格「DVD+R Basic Format Specifications Ver1.00」。1月の正式仕様発表を経て,近く対応製品が登場する見込みだ。DVD+Rは“アライアンス”陣営の普及の切り札になるのか,そして,DVD-Rとはいったいどこが違うのだろうか。

 1月21日に正式バージョンがアナウンスされたライトワンス規格「DVD+R Basic Format Specifications Ver1.00」。これをうけて,国内でもDVD+RW/+Rの両規格に対応した製品出荷が近く始まることになる。このDVD+R規格が,DVD+RWアライアンス陣営にとって普及への強力な切り札になるのか,DVD-R規格に対するアドバンテージを探ってみた。

DVD-Rとほぼ同じ特性,再生互換性の高さでは多少有利か

 DVD+R規格は,DVDフォーラムが標準化したコンシューマ向けライトワンス規格「DVD-R for General(以下,for General」の“DVD+RWアライアンス版”に相当する規格である。

 データを先頭から記録するシーケンシャル記録と1ECCブロック単位(32KB単位)の記録の2種類の記録モードが規定され,もちろん,ロスレスリンキングも必須の機能として採用されている。書き込みスピードは,DVD+RW規格同様に「1倍速〜最大2.4倍速」だ。書き込みスピードに幅があるのは,CAV方式とCLV方式の両方を使用できるからである。

 メディアは,DVD-R規格同様,記録層には色素が採用され,記録後にシングルレイヤのDVD-ROMとほぼ同じ特性が得られるように設計されている。

 従来のDVD+RW規格では,シングルレイヤのディスクでありながら,デュアルレイヤで作成したディスクの2層目の反射率(18%〜30%)しか得られないため,一部の機器で再生(読み出し)を行えないことがあったが,DVD+Rではその問題点が解決されているのだ。DVD+Rでは,シングルレイヤのディスクとほぼ同じ機械特性が得られるので,市販されているほとんどの再生専用機(DVDプレーヤやDVD-ROMドライブ)で読み出すことが可能だ。

 また,DVD+Rと“for General”の違いだが,再生機から見た場合は,もともとの設計思想がほぼ同じということもあり,両者は"ほとんど"同じに見えるといっても過言ではない。ただし,厳密にいうとfor GeneralよりDVD+Rの方が再生互換性が高くなる可能性がある。

 これは,for Generalのリードインエリア内に記録されている情報レイアウト(構造)が,DVD-ROMのそれと完全互換ではないからだ。現在のところ,DVD-ROMとの完全なレイアウト互換を実現しているのは,業務用のDVD-R for Authoring(以下,for Authoring)のみである。

 このため,“for Authoring”の再生互換性は,かなり高いが,for Generalは,レイアウトの互換性の問題によって,2世代目や3世代目ぐらいのかなり古いDVDプレーヤの一部で,作成したディスクの再生を行えないという現象が起きることが確認されている。

 DVD+Rは,この点を克服し,for Authoringとほぼ同じレイアウト設計がなされている。このため,理論上の互換性は,for Generalの上を行く可能性が高い。おそらく,再生互換性という点では,for Authoringに匹敵することになるなずだ。

 ただし,DVD+Rでも将来的には,DVD-R/RWなどで採用されているコピーマネジメント技術「CPRM」を採用するという"噂"がある。これを採用するとDVD+Rもfor Generalとほぼ同一のレイアウトを採ることになる可能性が高い。そうすると,現在のレイアウト上の互換性の高さというメリットは薄れ,for GeneralとDVD+Rは,ほぼ同じものとなることになるだろう。

マルチセッションで追記を実現,DVD-ROM互換にみえる工夫を施す

 DVD+R規格のもう1つの特長が,「Multi Session(マルチセッション)」を規定していることである。

 DVD+RW規格でもデータの追記を行うことができたが,これは,書き換えメディアの特長を生かした形で実現したものであった。このため,追記の方法としては,記録型DVD用のランダムアクセスライトソフトで使用されている1ECCブロック単位(32KB単位)での追記(ランダムアクセスライトによる追記)とDVD-ROM互換であることを前提としたシーケンシャルな追記の方法の2種類が採用されていた。

 しかし,DVD+R規格は,1度書き込んだデータを書き換えることはメディアの特性上行えない。そこで,新たにデータの追記を行うための使用法として規定されたのがマルチセッションである。

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