News 2002年2月28日 10:58 AM 更新

いよいよ登場するDVD+R対応ドライブ――“プラス”普及の切り札になるか?(2)

 DVD+R規格のマルチセッションの特長は,追記後の状態がDVD-ROM互換に見えるような工夫が施されていることにある。DVD規格では,CD規格でいうところのセッションに相当するものを「Border(ボーダー)」と呼び,複数のボーダーを記録することを「MultiBorder(マルチボーダー)」と呼ぶ。DVD+Rでは,これをCD同様にセッション/マルチセッションと呼んでいる。

 DVD+R規格のマルチセッションとDVD規格のマルチボーダーは,基本的な考え方としてはほぼ同じと考えてよい。しかし,再生専用機から見た場合にどのように見えるかという点が異なる。

 つまり,DVD規格のマルチボーダーでは,ドライブ側は,完全に独立した複数のボーダーを認識することになるが,DVD+R規格のマルチセッションでは,記録状態的には,複数のボーダーが存在していながら「シングルボーダー(シングルセッション)」として見えるのである。

 DVD+R規格では,これを実現するために新たに「イントロ(Intro)」と「クロージャ(Closer)」という2つの領域を設けた。

 前者のイントロは,DVD規格でいう「BorderIn(ボーダーイン)」という領域に相当するもので,後者のクロージャは,「BoderOut(ボーダーアウト)」に相当するものだ。ボーダーインやボーダーアウトという領域は,いずれも,マルチボーダーで記録を行う場合に使用され,それぞれ,リードインとリードアウトに相当するものである。

 DVD+R規格では,このイントロ/クロージャという領域を使用し,複数のボーダー(セッション)が存在していながら,シングルボーダーとして見える工夫を凝らした。もちろん,ロスレスリンキングを使用しているので,各セッション(ボーダー)間にリンクブロックが存在していないという点もこれに寄与していることは間違いない(DVD規格のマルチボーダーでは,ボーダー間にリンクブロックが配置される)。

 ただし,DVD+Rのマルチセッションは,DVD規格のマルチボーダーを使用した場合よりも,読み出し可能な機器が多くなる可能性は高いが,すべての機器で読み出せるわけではないという点には注意が必要だ。これは,マルチセッションがあくまでDVD-ROM互換を実現するためにシングルボーダとして見せるための工夫を行っただけで,物理的には,複数のセッション(ボーダー)が存在しているからだ。

 実際にあるメーカーでは,「DVD規格のマルチボーダーを使用すると追記したボーダーを認識できない機器が存在しているが,DVD+Rのマルチセッションなら,そういった機器でも,読み出せる可能性が高い」と話す。DVD+Rでは,追記という面でも,後発のメリットを生かし,より再生互換性が高い方法を考えたというわけである。

DVD+R Video Recordingも策定,DVD+RW/+Rドライブで更なる普及を目指す

 もう1点,DVD+R規格のアナウンスと同時にDVD+R Video Recordingという規格の策定もアナウンスされた。

 この規格は,DVD+Rメディアに対して,リアルタイム録画を行うためDVD-Video互換のビデオフォーマットであるということだけが公表されており,それ以外の詳細は,まだ不明だ。

 だが,ライトワンスメディアを使用していることを考えるとそれほど多くの機能が実装できるわけではない。おそらく,DVD-R/RWレコーダやDVD-RAM/Rレコーダなどで実装されているビデオモード記録のDVD+R版だと推測できる。

 DVD+R規格策定から約1月,DVD+RW/+Rの両規格に対応した製品は,近く出荷が始まる可能性が高い。すでに発売が始まっているDVD-R/RWドライブやDVD-RAM/Rドライブと機能的にも互角となったこの製品に注目が集まることは間違いない。

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[北川達也, ITmedia]