News 2002年3月4日 09:40 PM 更新

“アノト・ペン”で郵便ポストがなくなる?

紙にペンで書いた手書き情報がBluetoothでPCや携帯電話に伝送される“アノト・ペン”。今年末には国内でも発売されるというこの近未来的なデジタル筆記具について,開発元のAnoto AB幹部にインタビューを行った。

 紙にペンで書いた文字や絵などが,Bluetoothを使ってPCや携帯電話に無線で伝送されるアノト・ペン。この手書きデータを瞬時に送信することできる“デジタル筆記具”は,新しいコミュニケーションの世界が広がる可能性を秘めている。

 Anoto AB取締役兼日本アノト会長のChrister Johansson氏に,アノト・ペンを使った事業についてインタビューを行った。


アノト・ペンを手にするAnoto AB取締役兼日本アノト会長のChrister Johansson氏

ZDNet: 開発元のAnoto AB社があるスウェーデンでは,今年4月よりテスト販売されるとのことですが,日本での販売計画について教えてください。

Johansson氏: スウェーデンで発売されるSony Ericsson Mobile Communicationsの「CHATPEN」は,携帯電話と連携できるのが特徴となっており,価格は2万円ぐらいになります。しかし,今年末に発売する日本向け製品は,ぜひ1万円を切る価格で提供したいと思っています。やはり数千円レベルでないと,大量に消費される製品にはならないからです。これだけの機能を持ちながら1万円を切るというのは,ユーザーの立場からみても大変お買い得だと思います。

ZDNet: 発表されたSony Ericssonの製品を見ると,ペンとしてはやや大きく感じるのですが,日本向け製品ではどうなりますか。

Johansson氏: Sony EricssonのCHATPEN(写真左)は,デザインを優先したのと落下保護の目的からこのような大きさになりました。現段階でも技術的には,一回り小さなプロトタイプ(写真中央)ぐらいにはできます。さらに,日本で今年末に発売されるものは1.5世代版というべきもので,このプロトタイプよりも,もっと小さくなる予定です。

 バッテリー寿命は,読み取りペンとして使った場合,約5時間の連続使用ができ,A4サイズで38枚分書けます。また,待機しているときには2週間ぐらいは持ちます。

 さらに,2003年に発売が予定されている第2世代のアノト・ペンでは,大きさ・価格は1/2となり,バッテリー寿命は2倍になるでしょう。そして最終的には,皆さんが普段使っているノック式ボールペン(写真右)と同じ大きさになる予定です。


CHATPEN(左)とプロトタイプ(中央)。最終的には普通のボールペン(右)と同じ大きさになる

ZDNet: アノト・ペンは専用紙を使いますよね。ペーパーのコストが気になりますが。

Johansson氏: アノト・ペンは,微妙に異なる専用紙の微細なドットパターンによって,ペンが紙のどこの位置にあるのか識別できる仕組みです。このドットパターンは特許も取得しています。

 しかし,パターンそのものは普通に印刷されているだけで,製造面でも特別な設備や費用は必要なく,専用紙だからといって高価になるということはありません。例えば,日本の文具メーカーと開発している手のひらサイズのメモ帳なら,150円ぐらいで販売される予定です。この文具メーカーでは,同サイズの普通のメモ帳を120円で販売しています。

 しかし,普通の紙でも,各種申請用紙などは,1枚で100円するものもあります。アノトの専用紙も,A4サイズがいくらというよりも,用途に合わせた価格設定が行われるでしょう。


同社特許のドットパターンも,特別な印刷コストはかからない

ZDNet: アノト・ペンの可能性と日本市場への期待感について教えてください。

Johansson氏: アルファベットの羅列でしかない欧米の言語とは違い,日本語は漢字1つにも意味があります。サイン文化の欧米では,eコマース的な利用法が中心となるでしょうが,日本では,手書き文字を生かしたコミュニケーションの道具として活用していくのではと思っています。

 キーボードでの入力には限界があります。しかし,どんな人でも“紙とペンで書く”という作業は慣れているでしょう。アノト・ペンで電子メールを使うときに必要なのは,eメールアドレスの記入と送信ボックスへのチェックだけです。これなら私の母親でも,いや,私の祖母でも使えます。日本で一番アノト・ペンに脅威に感じるのは郵政事業庁ではないでしょうか(笑)。

 ――先週行われたアノト・ペンの発表会では,高齢の女性がアノト・ペンですらすらと手紙を書いて専用紙右下にチェックを入れるだけで,手書きの電子メールが送信されるという利用シーンがビデオで紹介された。これこそ,アノト・ペンが本領を発揮する使い方の代表例だろう。このデモンストレーションを見ると,「日本の郵政事業庁が,一番アノト・ペンを脅威と思うのでは」というJohansson氏の言葉も,納得がいく。

 “文字は人をあらわす”といわれる。アノト・ペンは,無機質になりがちなデジタルコミュニケーションの世界に,暖かい息吹をもたらしてくれる“道具”となるかもしれない。

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▼ アノト日本

[西坂真人, ITmedia]

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