News 2002年3月27日 11:59 AM 更新

ROBODEX2002で見つけた注目のロボットたち

ROBODEX2002の注目の1つに,大学の研究室が挙げられる。企業のロボットのような派手さはないが,とても個性的なロボットが集まっている。

 ソニーの土井利忠上席常務は,ROBODEX2002の見所の1つとして,大学の研究室を挙げていた。なるほど,確かに興味深い展示が多い。

マッスルスーツ?

 東京理科大学小林研究室。「マッスルスーツ」を展示している。いい体格をした若者がデモンストレーションを行っているが,装着すると何倍くらいのパワーが出せるのだろうか?


いかにも強そう。戦闘モードか?

 ところが,担当の学生によれば,このスーツは筋力をアップするためのものではなく,正確には「筋肉の動きをサポートするものなんです」とのこと。あのパワーアシストスーツとは異なり,介護者のためのアイテムではなく,要介護者が身に付けて,自分自身で歩いたり何かを持ち上げたりできるようにするものだという。

 また,このマッスルスーツの大きな特徴は,マスター/スレーブ機能を備えている点。マスターから,スレーブ側に動作を入力することができる(途中,PCを介する)。上の写真でいえば,左側がマスター,右側がスレーブになっている。マスターは,動きを入力するだけなので,エアーを送るチューブは必要ない。

 現在,送れる信号は関節の角度だけだが(手首や肘,ならびに肩),将来的には動きの速さまでコントロールできるようにしたいという。ちなみに,お願いすれば,一般の来場者でも着せてもらうこともできるそうだ。

看護婦ロボット?

 小林研究室では,マッスルスーツのほかに,「SAYA」という顔ロボットを展示している。顔面上の18カ所を,空気圧駆動の人工筋肉システムで動かし,さまざまな表情を作り出すことができる。顔の素材にはシリコンゴムを使用している。2002年中には,エンターテインメント分野で製品化が予定されているという。鉄腕アトムの顔ロボットを制作しようという計画もあるとか。


顔ロボットのSAYA。ちょっと気味悪いが,顔の動きはなかなかリアル。でもなんで看護婦姿……?

 また,早稲田大学ヒューマノイド研究所高西研究室も,顔ロボット「WE-4」を出展している。こちらは,小林研究室と異なり,リアルさを追求するのではなく,あくまでロボットに表情を持たせることにこだわったという。そのため,1つ1つの動きがデフォルメされており,「リアクションがでかい」という説明がピッタリくる。


アルコールを嗅がせると顔を赤くするという個性的なWE-4。また赤い色を見せると喜んだり,なでてやると気持ちよさそうな表情を作るといった芸もできる


こちらも,同じ高西研究室の人間型フルート演奏ロボット。会場では素晴らしい演奏を披露していた

まだまだいる注目のロボットたち


ATRメディア情報科学研究所の「ロボビーIII」。腰と胸部がパラレルリンクと呼ばれるシステムで接続し,腰を屈めることができる。挨拶をしたりなど,100以上の行動・態度を表現できるが,パレードの際はなぜか沈黙……。付き添いのお姉さんから「今日は機嫌が悪いのかなぁ?」と聞かれ,会場の笑いを誘った


バンダイが開発した友達ロボット「BN-7」。ボディの中にはPCを搭載,身長は68センチとビッグサイズ。とても可愛らしいデザインとのアンバランスがまた魅力。担当者がこっそり教えてくれたのだが,「本当はもっと小さくしようと思ったんだけど,“玩具じゃないぞ”ということを強調するために大きくした」とか。2〜3年後に30万円程度で製品化する予定だが,「BN-7はあくまで手の動きなどを試作するために作ったもの。このまま発売するわけではない」という


名古屋大学大学院工学研究科の「からくり人形 からす天狗」。牛若丸に剣術の極意をさずけた鞍馬天狗が,からす天狗となって飛び立ち,大天狗となるという内容。ROBODEX2002の中では極めて異色の展示だった


やっぱり今年もバトルロボットが熱い。ツクダオリジナルは4月に「ARMERBOT」を発売する。リモコン操作でバトルを楽しむロボットで,胸の攻撃ポイントに衝撃を2回受けると腕が落下して負けになる。価格は1980円。


ロボットではないが,展示会場で女優の田中麗奈さんを発見! 田中さんはROBODEX2002のオフィシャルガイドブックでロボット好きな一面を披露しているぞ

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[中村琢磨,ITmedia]

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