News | 2002年3月29日 11:38 PM 更新 |
みなとみらい・パシフィコ横浜で開催中のパートナーロボット博覧会「ROBODEX2002」。お伝えしたように,展示会場では,ソニー「SDR-4X」,ホンダ「ASIMO」をはじめとするヒューマノイドロボットが注目を集めているが,今回のROBODEXで忘れていけないのが,英国からやって来たロボット開発会社のShadow Robot。唯一の,海外からの出展である。
主催者側が,「実際に来日するまではどんなロボットが出てくるのか全く分からなかった(苦笑)」と肝を冷やしたShadow Robotから出てきたのは,エアチューブを使った,腕ロボットだ。「エアマッスル」と呼ばれる特殊繊維で作った疑似筋肉を,実際の筋肉と同じようにフレーム(骨に相当する)に張りめぐらしたもので,非常にリアルな動きを再現している。
Shadowでテクニカルディレクターを務めるRich Walker氏によれば,この腕ロボットは,「障害者のアシスタントとして働けるように開発している」もの。「このまま義手にすればいいという意見もあるが,そういった開発は米国の大学などいろいろなところでやっている。腕ロボットは義手ではなく,“腕のない人の腕になってくれる”ロボットだ」(同氏)。
ROBODEX2002の会場でトークショーを行なったShadowのRichard Greenhill社長によれば,エアーマッスルを使ったロボットを開発しているShadowプロジェクトの中には,足が不自由なメンバーがいるという。そこで,Greenhill社長は,具体的にエアーマッスルがどう役に立っているのかを説明した。
「そのメンバーは,足にエアーマッスルを装着して,足を動かせるようになり,とても喜んでいた。さらに,腕ロボットを移動できる装置に取り付けることで,どこにいても彼をサポートできるようになったほか,彼は寝返りがうてないので,寝返りをサポートする動きを実現するソフトも開発した」(Greenhill社長)。
また,Grennhill氏はトークショーの中で,同氏の将来のロボット像について,次のようなアイデアを披露した。
「近い将来,ロボットは必ず家庭の中に入ってくるだろう。だが,それは友達としてではない。ロボットはあくまで機械にすぎない。人間のために何かをしてくれる機械なのである。例えば,英国では,みんなファーストフードをよく食べるが,ロボットが野菜を切ってくれて,料理してくれれば,もっと食生活が豊かになるだろう」(同氏)。
おそらく,「何の役にも立たない」(ソニー・土井利忠上席常務)SDR-4Xを,高級車1台分で販売しようとしていることなど,Greenhill氏には到底理解不能なことなのだろう。ただ,だからといって,Greenhill氏が日本のロボット業界に懐疑的なわけでもない。
「私は,21年前からロボットの開発に取り組んでいるが,周囲からは“ロボットばかりやっていてあいつは気が狂っているに違いない”と後ろ指をさされてきた。今回,ロボットの将来を確信している日本にやって来れて嬉しい。日本は偉大なロボットの国だ」(Greenhill氏)。
最後に,「ロボット革命が起これば,コンピュータの革命など取るに足らないものだということが分かるだろう。コンピュータに手と足が生えたものを想像してみればいい」とトークショーをまとめたGreenhills氏。ロボットに対する熱い思いは,土井氏と変わらないようだ。
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