News:っぽいかもしれない 2002年4月5日 06:57 PM 更新

っぽいかもしれない:“走るAIBO”には歴史がある(1)

ROBODEX2002で,“走るAIBO”の映像が公開されたのはご存じの通り。この走るAIBOは,MIT Leg Labの遺伝子を持つ超優良血統なのだ。今回は,映像も公開。

 「ROBODEX 2002」の3日目。3月27日に,「走るAIBOは可能か? 先進のシミュレーション技術が生み出す走行ロボット」と銘打たれたトークショーがあった。トーカーはBoston Dynamics社社長のMarc Reibertさんと,ソニーデジタルクリーチャーズラボの山本隆司さんの二人。これを聞きにいった。

 トークショーの会場に入ると,最前列にはAIBOのオーナーが集結だ。自分のAIBOを取り出して席の前に並べている。やっぱりそうなるよねっていう風景。これからトークするはずのMarc Reibertさんもそれを見て喜んじゃって写真を撮ったりしてる。

 司会の女性が二人を紹介した後,まず,山本さんが口火を切る。

 「いま,一緒に仕事をしているんでMarcとかいってますけど,Reibert先生っていえば教科書には必ず出てくる名前ですから。雲の上の人。いまの野球少年がイチローを見るような感じですね。」*1

 Marc Reibert先生は,MITLeg Laboratory(かっこいい名前だ)を立ち上げて,そこで“走る”ロボットについての研究をいくつもしたあと,Boston Dynamics社の社長になったっていう,いかにもMIT的オーソリティって人なのだ。

 その“走る”の定義について,先に紹介しておこう。動くときに全部の脚がすべて宙に浮いている瞬間があるのが“走行”。どれかの脚が必ず地面についているのが“歩行”。陸上競技の競歩の定義と一緒だ*2。これ,トークショーではあとのほうで出てきた話題なんだけど,最初にわかってたほうがいいよね。

Marc Reibert氏の話

 というわけでMarc先生の話が始まる。まず,もっとも“プリミティブ”な脚歩行ユニットの写真を見せてくれる。そのユニットが目の前にある障害物を乗り越えていくところだ。



*1わたしなんかだと,アラン・ケイを見るような感じかな。
*2ロボットの話をするときには“静歩行”“動歩行”っていう用語も出てくるのだけど,これは全く違うはなし。歩くときに,どちらかの脚の上に必ず重心をおく歩き方(一歩一歩踏みしめながら歩く)のが静歩行。わざと重心を前にはずして(極端に言えばつんのめりながら)歩いているのが動歩行。

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[こばやしゆたか,ITmedia]