News 2002年4月15日 09:25 PM 更新

中古ゲームソフト訴訟,25日に最高裁判決――メーカー側の敗訴濃厚に

最高裁は15日,中古ゲームソフト訴訟の関係者に判決期日を25日に指定したと通知した。口頭弁論を開かずに判決が言い渡されることから,ソフトメーカー側の上告が棄却される見通しだ。

 中古ゲームソフト販売の是非をめぐり,ゲームソフトメーカーとソフト販売店が争っていた2件の訴訟の上告審で4月15日,最高裁は判決期日を25日に指定し,関係者に通知した。

 口頭弁論を開かずに判決が言い渡されることから,最高裁は中古ソフト販売は合法だとした東京・大阪の両高裁判決を支持し,メーカー側の上告を棄却する見通し。ゲーム販売店側の勝訴が確定すれば,中古ゲームソフトは自由に販売できるようになる。なお,コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)やテレビゲームソフトウェア流通協会(ARTS)などでは「通知は来ているが,正式に判決が出るまでコメントすることはない」としている。

 ゲームソフトメーカーがソフトの「頒布権」(著作権者が譲渡などをコントロールできる権利)を主張して起こした中古ゲーム訴訟は,東京・大阪の地,高裁の4審でいずれも結論や理由付けが異なっており,最高裁でどのような判断が下されるのか注目される。

 中古ゲームソフト訴訟のこれまでの経緯は以下の通り。

裁判所判決理由
東京地裁販売店勝訴ゲームソフトは「映画の著作物」に該当せず,メーカー側に頒布権は認められないとして,メーカーの販売差し止め請求を退けた。
大阪地裁ソフトメーカー勝訴ゲームソフトは著作者の統一的な思想・感情が創作的に表現されたものであり,「映画の著作物」に該当すると認定。販売店は頒布権を侵害しているとして,販売差し止めならびに在庫棄却を命じた。
東京高裁販売店勝訴メーカー側に中古ゲームソフト販売の差し止め権がないことを確認した一審の結論を支持。一審とは逆に,ゲームソフト自体は著作権法上の「映画の著作物」にあたると認定したものの,販売されたそれぞれの作品については「少数の視聴者によってプレイされるもの」として頒布権は認めなかった。
大阪高裁販売店勝訴一審の判決を覆し,メーカー側の主張を退ける。東京高裁同様,ゲームソフトは「映画の著作物」だと認めた上で,「ソフトの複製は大量に生産されており,映画の配給制度とは異なる」と指摘。メーカー側に頒布権を認めなかった。

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関連リンク
▼ コンピュータソフトウェア著作権協会
▼ テレビゲームソフトウェア流通協会

[中村琢磨,ITmedia]

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