News 2002年4月18日 09:13 PM 更新

レコ協,コピーコントロールCD普及に向け環境作り

レコ協が,コピーコントロールCDの表示方法に関する基準を制定した。パッケージに貼るロゴマークや表示内容について記されている。「表示に適切さを欠き,消費者の混乱を招いた欧米を他山の石とした」(RIAJ)という。

 「消費者の理解を得られている」として,全ての新作タイトルのコピーコントロールCD(CCCD)化を打ち出したエイベックス。また,5月には東芝EMIから,第16回ゴールドディスク大賞の各賞受賞作品11曲を収録したコンピレーションCCCDが発売されるなど,レコード会社のCCCD採用が加速している。

 こうした動きを受け,日本レコード協会(RIAJ)は3月22日付けで,CCCDの普及促進と消費者の混乱を防ぐことを目的とする「複製制御CDの表示に関する運用基準(暫定版)」を制定した。これは,CCCDのロゴマークやパッケージに貼るシールに記すべき表示内容などを定めたもの。RIAJによれば,業界統一的に基準を設けたのは世界初。「CCCDであることの表示はもちろん,複製制御ならびに再生制限の対象となる機器を明確にし,消費者が店頭での購入時に判別しやすいことを主眼において基準を作成した」(RIAJ)。


RIAJが定めたCCCDを示すロゴマーク。「詳細は裏面」と書いてある


裏面には,「ご購入の前に必ずお読みください」とあり,再生できない“場合のある”プレーヤーが挙げられている。もちろん,機種名などは明らかにされていない。免責事項としてCD-ROMドライブで再生した際に,データやハードウェアに障害が生じても補償は行わないことが記されている。エイベックスが現在発売しているものと比べても,内容自体にそれほど大きな変化はない

 エイベックスでは,CCCD第1弾としてBoAの新曲を発売する直前まで,この但し書きの内容に苦労していた。当初は,シールが2枚重ねになっていたほか(内容の変更が間に合わなかったもようだ),途中でシールの内容そのものが変更になるなど,その混乱ぶりが伺える。RIAJでは,今後,レコード会社各社から,表示の内容や方法が異なるCCCDが登場すれば,消費者に混乱をきたすとして,統一ロゴの仕様を制定することにした。

 「日本に先行してCCCDを発売した欧米で消費者の混乱が起こったのは,表示に適切さを欠いたためだ」(富塚勇 RIAJ会長)。

 なお,RIAJでは,CCCDに関する取り組みは基本的に各レコード会社の判断に任せている。制定されたCCCD表示の運用基準についても,何らかの強制力を持つものではなく,あくまでも利用を推奨しているだけだ。また,フォーマットもレコード会社に変更の余地が大いに残されている。

RIAJはCDSをどう見る?

 エイベックスのCCCD発売に際しては,インターネットの掲示板を中心にさまざまな議論が行われた。その結果,Do-As-Infinityの公式BBSが荒らされ,閉鎖に追い込まれるなど,残念なことにもなってしまった。しかしながら,ふたを開けてみれば,エイベックスがCCCDの売れ行きについて「非常に好調」としているように,CCCDに対する拒否反応はあまりないようである。

 ただ,エイベックスが採用した「CDS」(Cactus Data Shield)というコピー防止技術については専門家の間で“変な板”と揶揄されるなど,CD規格との整合性やコピー防止能力についての評価はイマイチである(3月13日の記事参照)。

 この点についてRIAJでは,「個別のCCCD技術について検証を行っているわけではない」(RIAJテクノロジーセンター長の田中氏)として,CDSに対して具体的な評価は避けたが,「確かに,CDSでは満足にコピーを防止できないケースがあるかもしれない。だがそのことよりも,オーディオCDにはこれまで,何の著作権保護機能も施してこなかったことのほうが大きな問題である」との見解を示した。

 「コピーガードはこれで終わりというわけではなく,この動きは,将来的にもっと強固なコピーガードの取り組みへとつながっていくだろう」(同氏)。

 なお田中氏は,CDSがオーディオCD規格の「レッドブック」に準拠していないことについて,「RIAJはライセンスホルダーではないのでコメントする立場にはない。レコード会社とライセンシーのソニー,フィリップスと話し合ってもらいたい」と距離を置いた。

敵は「パーフェクトクローン」

 レコード業界が,CCCDに積極的なのは,ファイル交換ソフトの普及によって,無料で楽曲データがやり取りされるようになり,CDの販売が落ち込んだと考えているからである。田中氏によれば,日本MMOの「ファイルローグ」の仮処分が下されてからというもの,CCCDに対する要望はさらに強まっているという。

 富塚勇会長も,常々,「ファイル交換ソフトは悪」と断言してきた。だがこの日は,ファイル交換ソフトには言及せず,新たなる脅威として「パーフェクトクローン」の存在を強調してみせた。パーフェクトクローンとは,ラベルからパッケージまで,オリジナルと同等に作り込まれた複製のことである。


RIJAの富塚会長(左)と田中テクノロジーセンター長(右)

 富塚会長は会見の席,オリジナルとパーフェクトクローンの2つのパッケージを手に取り,「こんなものが,自宅で簡単に作れるようになっている。コストもたかだか100円くらいだ」と憤り,さらに,その鉾先を中古CD販売店に向けた。

 「中古CD販売店は,全国に約7600店ある。普通のCD販売店が約8000店だということを考えると,これは非常に恐ろしい数字だ。そもそも,中古CD販売店というビジネスが成立するはずがない。本は1回読んだら,映画は1回観たらもう用済で中古に売るのは理解できる。だが,音楽は何回も繰り返し聴くものである。それなのに,中古が出回るということは,パーフェクトクローンを手元に残し,オリジナルを売っているからだ」(同会長)。「IFPI(国際レコード産業連盟)によれば,現在,世界中に出回っているCD-Rは約48億枚。個人での流通なので正確な数字は分からないが,IFPIの話ではそのうち50%,つまり24億枚が音楽の違法コピーに使われている」。

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関連リンク
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▼ ニュースリリース

[中村琢磨,ITmedia]

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