News 2002年4月18日 01:10 PM 更新

3GIO改め「PCI Express」,対応PC開発に向け前進へ

次世代シリアルI/O技術「PCI Express」が計画通りにローンチされれば,今年後半には,2003年末と言われる対応PCの開発に向けて大きな前進が見られることになる。いずれは「やさしい積み木」のような自作PCも出てくる……?

 米国シアトルで開催中の「WinHEC 2002」の2日目となる4月17日,PCI-SIGはPC向け次世代I/O技術,3GIOの正式名称が「PCI Express」に決定したと発表した。PCI Expressは,Arapahoe Work Groupが作成していたバージョン1.0のドラフト案が完成し,現在,PCI-SIGのボードメンバーがレビューを行っているところ。PCI-SIGは,60日以内にPCI-SIGのメンバーに1.0ドラフト仕様書を配布する。

 PCI-SIGではPCI Express 1.0の正式版リリースを今年第2四半期中と見込んでおり,6月3〜4日にサンノゼで開催されるPCI-SIG Developers Conferenceでのローンチに向けて努力するとしている。予定通りに進めば今年後半には,2003年末と言われるPCI Express対応PCの開発に向け大きく前進することになる。

 PCI Expressは,昨年Intelが基礎技術を発表し,標準化団体のPCI-SIGに仕様策定を委ねた次世代のシリアルI/O技術。1チャネル当たり4ビットと信号線が少なく,クロック周波数を上げやすいほか,ホットプラグ(電源を入れたままの抜き差し)が可能といった特徴を持ち,パケットベースの通信を行う。

 PCI Expressは1チャネル当たり1方向の通信が割り当てられ,各チャネルごと毎秒2.5Gビットの速度を第1世代で実現。将来的には最大1チャネル当たり10Gビットの速度が実現される見込み。PCI Expressでは通信チャネルのことを「レーン」と呼んでいるが,複数のレーンを束ねて帯域をスケールアップすることもできる。複数レーンを1つの通信で利用する際は,各レーンにデータを1バイトずつ分割して転送する仕組みも提供される。また,往復で2つのレーンをスイッチングデバイスで切り替え,複数のデバイスを接続するソリューションも用意されている。

 PCI Expressが十分に普及すると,現在のPCはその姿や使い勝手が大きく変わるだろうと言われている。ホットプラグ可能なほか,接続に必要な端子数が少なくて済むため,従来のような拡張カードはなくなり,あらゆる機能がモジュール化し,カセット式に入れ替え可能になる。また,PC本体と各種ドライブやI/Oポートなど,機能ごとにモジュール化できるため,PC各部のレイアウトを大きく変容させる力を持っている。

 例えばWinHECの展示会場で,IntelはPCI Expressを用いたモジュール形式のフォームファクターを展示していた。このフォームファクターは,あくまでも1つの例とのことだが,モジュールを差し込んでさまざまな拡張を施すコンセプトがよく現れている。


PCI Expressを用いた拡張スロットの例。小さいモジュールは2コネクタ4レーン,大きいモジュールは3コネクタ6レーンを使っている


モジュールのコネクタ部。2コネクタ4レーンの構成になっている。ただしモックアップなのでコネクタ部の形に意味はない

 1コネクタに送受信2つのレーンを入れ,モジュールの幅を広げることでレーン数を増加させることが可能。電子ブロックのようにスロットの隙間にモジュールを挿入することで,あらゆる拡張デバイスを内蔵することができる。背面にはグラフィックス用モジュールのスロットもあり,3コネクタ6レーンを用いて高性能グラフィックスモジュールを実現する(ただし,あくまでも例でしかないので,実際のPCでどうなるかは分からない)。

 こうしたモジュール化が進んでいけば,将来的には,それこそ電源付きのPCI Expressをベースに,CPU&メモリモジュール,PCIスロットモジュール,グラフィックスモジュール,ディスクベイモジュールなどを電子ブロックライクに組み入れるだけでPCを作る,といった「やさしい積み木」のような自作PCが出てくるかもしれない。

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[本田雅一,ITmedia]

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