News 2002年5月10日 02:22 AM 更新

2010年、あなたはのび太になる

毎回、画期的なアイデア商品が披露される「東京おもちゃショー」。今回はドムが登場したが、それよりも熱いのは……

 おもちゃショーには、楽しみがある。何よりもアイデアが重要視されるこの業界では、こちらの予想を見事に裏切ってくれる斬新な商品に出会えるからだ。最近では、2足歩行するザクのラジコンがそうだった。

 2002東京おもちゃショーはどうだったか? 詳細は後でお伝えするが、バンダイが2足歩行ザクの後継機種としてタイヤでホバークラフト(?)する「ドム」を披露した。そのほかのメーカーも負けじと新機軸の商品を打ち出していて興味深い。だが今回のおもちゃショーで、最もド肝を抜かれたのは、何といっても「リアル ドリーム ドラえもん プロジェクト」(長いので“リアルドラえもん計画”と省略させてもらう)だ。

 リアルドラえもん計画は、2010年に“本物のドラえもん”を作ってしまおうという計画。四次元ポケットは別として、人間と高度にコミュニケーションのできるロボットを開発するのが目的である。ただ、リアルドラえもんをバンダイ1社で開発するのは荷が重すぎるので、ロボット研究者や音声・画像認識、ならびにセンシング技術といった要素技術を持つ企業と連係し、プロジェクトを進めていくのだという。

 リアルドラえもんへの道は、3段階に分けられる。第1段階は、音声コミュニケーションを重視した「ドラえもん ザ ロボット」の開発である。おもちゃショーの会場では開発途中のプロトタイプが参考出展されており、2002年10月の発売が予定されている。身長は25センチでタイヤを使って移動する。

 具体的な機能としては、ユーザーの呼び掛けに反応して近寄ってくるほか、「ドラ焼き」「ネズミ」といったキーワードに反応してさまざまなリアクションを行うという。この段階では、まだまだ既存のペットロボットとそう大差はない。

 第1段階が、外部からの入力による「反射」をテーマにしていたのに対し、2006年に発売予定の「ドラえもん ザ フレンド」では、複数のセンシング技術を使い「環境認識型ロボット」を目指すという。

 環境認識には、画像認識や音声認識などを組み合わせてユーザーと他人を区別する人物特定能力や、自分の置かれている位置関係や障害物などを検出する空間マッピング、ならびにアクチュエーターを使って顔に表情を持たせる感情表現機能などが含まれる。なお、この段階でドラえもんの身長は70センチになる見込みだ。

 その4年後、2010年に完全2足歩行をする「リアル ドリーム ドラえもん」が誕生する予定だ。身長は、原作に忠実に129.3センチになる。このドラえもんが実現できたら本当に凄い。何しろ、搭載する「歩行移動装置」では、安定した2足歩行はもちろん、坂道や階段の昇降、それに人混みなど、普段の生活にありそうな環境はほぼ走破可能なのだ。


これがリアル ドリーム ドラえもん。解説は書いてあるのだが、おもちゃショーに来るようなこどもたちに果たして理解できるのだろうか? それと、バンダイから発売されたら、「やっぱりドラえもんはバンダイ製だった」ということで落ち着くのだろうか……。

 さらに、人工ニューラルネットワーク(脳の情報処理の方法を、神経細胞の働きを模擬したユニットを多数配置することで実現する)や自由会話制御技術、遺伝アルゴリズム(GA)と呼ばれる進化手法を用いて、リアルドラえもんは、論理的思考や情報の取捨選択・実行が可能になるという。

 「ユーザーとの関わりや毎日の経験から得たさまざまな情報から自分の行うべきことを推論し、会話や行動を変化させる」(バンダイ)。これだけできれば、リアルドラえもんを名乗っても看板に偽りなしだが、真にリアルを極めるなら、声は大山のぶ代さんで決まりだろう。

 また、バンダイでは、リアルドラえもんの研究開発を通じてで培った技術やノウハウをそのほかのロボットにフィードバックし、ロボット産業の底上げを図る考えだという。なんだか、おもちゃショーの原稿を書いている気がしないが、実際、おもちゃショーよりも、ROBODEXが似合いそうな発表である。

ジェットストリームアタック!?

 リアルドラえもんの後だと、ちょっと影が薄くなってしまった感のある「MS-09 ドム」だが、同じ「R/C TECH ROIDE」シリーズながら、ザクからは製品コンセプト自体に大幅な見直しが加えられているので、チェックしておきたい一品である。


タイヤで動くドム

 ザクのときは、2足歩行することが最大のウリになっていたが、ドムは歩かない。代わりに、足の裏についているタイヤでドムらしく、「ホバー移動を彷佛とさせる」(バンダイ)動きをするのだ。前後・左右へのスライドが可能で、その移動速度は「ザクの10倍以上」だ。ザクとは違うのだよ。ザクとは。

 また、このドムには「バトルシステム」が用意されている。BB弾を発射するのではなく、手に持ったジャイアントバズーカから赤外線を射出する。これが、胴体部などに付けられた「ダメージポイント」に命中すると、相手を撃墜することができる。「スーパーロボット」のアレと似たような仕組みだ。


バトル用のプロポ。ダメージを受けると振動する機能もあるという

 価格は、2万9000円で、2002年末発売予定。2足歩行ザクを購入した人なら、迷わず購入すると思われるが、余裕があるなら3台購入すべし。「ん? バトルするなら2台でいいんじゃないの?」なんてツッコミは素人のやること。ジェットストリームアタックをばっちり決めるには、やっぱり3台なのだ。ぜひ、バンダイには「ジェットストリームアタックセット」を用意してもらいたいものである。


実はドラえもんと同じくらい衝撃を受けた商品がコレ。ザクのヒートホークをギターにしてしまった「機動戦士ガンダム・エレキギター」(5万8000円)である。ヒートホークだけでなく、ビームライフルバージョン、ハイパーバズーカーバ―ジョンも製品化を検討している。サイズは90センチ前後のミニギター。ヒートホークをギターにしてしまうという超弩級のアイデアに脱帽である。それだけでなく、ガンダムの音声や効果音が内蔵されており、「今までにないパフォーマンスが可能です(業界初)」とある。コミックバンド向けか。それにしても、写真のザクはそのままステージに立たせたいくらい様になっている

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▼ 2002東京おもちゃショー公式ページ

[中村琢磨, ITmedia]

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