News 2002年5月21日 08:44 PM 更新

中古ゲームの次は中古CD――レコ協とARTSが対立

中古CD販売問題をめぐり、2つの業界団体が対立している。中古CDの販売を規制する法整備を提言するレコード協会に、中古ゲーム訴訟の当事者だったテレビゲームソフトウェア流通協会(ARTS)が噛み付いた

 5月21日、日本レコード協会(RIAJ)が、2001年度の国内音楽産業の動きを取りまとめた「日本のレコード産業 2002」をリリースした。この冊子の中でRIJAは、今年度、日本のレコード産業が取り組むべき課題として、ファイル交換ソフトに代表される「ネット音楽の違法利用対策」、ならびに「中古CDの流通に関する法整備」を掲げている。

 先日の記者会見でも、RIAJの富塚勇会長は「中古CD販売店が新規のCD販売を脅かしている」と懸念を示していたが(4月18日の記事参照)、この中古CD問題をめぐって、RIAJとゲーム販売店団体のテレビゲームソフトウェア流通協会(ARTS)が対立している。

 富塚会長は、経済産業大臣などの閣僚、ならびに有識者から構成される政府の「知的財産戦略会議」のメンバー。4月10日に開催された第2回会議で富塚会長は、「日本レコード産業からの提言」と題された資料を提出した。

 内容は、中古CD販売の禁止、または権利者が中古販売営業から正当な利益の保証を受けられるような制度を法的に整備すること、ならびにコピーコントロールCDを技術回避するノウハウを流布することを違法として、刑事罰を伴う法整備を行うことの必要性を説くものだった。

 富塚会長は提言の中で、新たな法整備が必要な理由として、中古販売店の増加が音楽産業に与えている影響を説明。加えて、「私的使用のための複製」を認める著作権法第30条の制定時(1970年)はもちろん、デジタル録音機器に対する「私的録音保証金」制度が創設された1992年においても、「パソコンは一般家庭に普及しておらず、廉価CD-Rが登場したのはここ1〜2年(ちなみにパソコンもデータ用CD-Rも私的録音保証金の対象とはなっていない)」と主張している。

 戦略会議には20人程度のメンバーがおり、一人一人の発言時間はほんのわずかで、早急に何らかの動きがあるわけではないが、ARTSがこれに噛みついた。ARTSの赤田和博理事は5月15日付けで、知的財産戦略会議の阿部博之座長(東北大学総長)宛てに、富塚会長の提言に対する意見書を送付している。

 赤田理事は、中古ゲームソフトは合法であるとした最高裁判所の判決を引き合いに出しながら、「中古規制の要求は憲法で保証された財産処分権への挑戦であり、(中略)また、先の最高裁判決を真っ向から覆さんとする、信じがたい無謀な提言」とバッサリ。「法的規制を求める根拠は脆弱で、手前勝手な解釈に満ちたもの」と続ける。

 ARTSは、4年間にわたり、中古ゲームソフト販売は違法だと主張するコンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)らを相手に、法廷闘争を繰り広げてきた。今回、意見書を提出した背景について赤田理事は、ARTSのWebサイトにある掲示板で、「(ゲーム販売店団体の)ARTSがCDの中古問題自体をテーマにするわけではないが(中略)CDであれ、このような形で中古規制が行われると裁判の努力も水泡に帰すことになる」と説明している。

【記事修正について】5月21日付け記事に誤解を招く可能性のある内容がありましたので、修正しました。2002/5/22

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[中村琢磨, ITmedia]

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