News 2002年5月29日 06:51 PM 更新

エプソン、携帯機器向け新インタフェース“USB OTG”対応チップを発表

セイコーエプソンが、PCを介さずに2つの周辺機器同士を相互接続できる新しいインタフェース規格「USB On-The-Go」に対応したコントローラLSI「S1R72005」を開発、今年9月から量産を開始する

 セイコーエプソンは5月29日、PCを介さずに2つの周辺機器同士を相互接続できる新しいインタフェース規格「USB On-The-Go」に対応したコントローラLSI「S1R72005」を開発したと発表した。今年9月から量産を開始する。サンプル価格は1500円。


「USB On-The-Go」に対応したコントローラLSI「S1R72005」

 PCと周辺機器を接続するためのインタフェース規格として、USBは現在多くのPCに採用されている。しかしUSB接続によるデータ転送は、ホスト(親)とペリフェラル(子)という“親子関係”を前提としており、従来のホストはPCに限られていた。

 USB On-the-Go(USB OTG)は、普及が進んだUSBを周辺機器同士を接続するインタフェースとして活用するための規格。USB推進母体の「Universal Serial Bus Implementers Forum(USBIF)」が、昨年12月にUSB規格の追加仕様として正式仕様を発表した。このUSB OTGでは、ホストとペリフェラルというUSBの“親子”関係を、接続し合った2台の周辺機器にそれぞれ設定でき、周辺機器同士をPCなしでダイレクト接続できる。

 同社電子デバイス営業本部・IC営業推進部長の藤原安英氏は、USB OTG対応コントローラチップの開発背景について「USBはすでに世の中に広く普及している規格だが、PCを介さなければいけないのが不便だった。PCがなくても機器間でデータをやりとりできる規格としては、IEEE1394やBluetoothなどさまざまな提案がされているが、もっと手軽でコストパフォーマンスが高い接続方法はないのかという声に応えるため、USB OTG対応チップの開発に着手した」と語る。

 USB OTG対応チップは海外メーカーなどですでに開発が進んでいるが、同社が新たに開発したLSI「S1R72005」は、ワンチップに USB OTG/ホスト/ペリフェラルといった3つの機能を搭載した点が大きな特徴となっている。

 「3つの機能をワンチップにしたのは日本では当社が初めて。省電力・省スペース・省時間(タイムセービング)など、当社が進める『“省”の技術(エナジーセービング)』が生かされており、ホストの負荷軽減をはかって使いやすくした。携帯電話のようなCPU性能が低い機器でも、軽快に使える」(同社)。

 新チップ搭載のターゲット製品としては、携帯電話、PDA、デジタルカメラ、DVカメラといった携帯型電子機器のほか、外部記憶装置(ストレージ)やプリンタなども対象となる。「従来のUSB同様にPCに搭載することも可能だが、USB OTGのメリットが一番発揮されるのが携帯電話やデジカメといった携帯型の電子機器。新チップもここを中心に狙っていく」(同社)。

 USB OTG機能を携帯電話やデジカメに搭載すると、どのような利点があるのだろうか。

 携帯電話は高機能化が進み、画像や着メロ(音声)といった大きなデータを扱えるようになったが、USB OTG機能を搭載した携帯電話なら、PCを介さずにこれらのデータをストレージやプリンタなどに転送して、データを保存したり印刷することが簡単にできるようになる。


発表会場では、同社の新チップを搭載した評価ボードにプリンタを接続して直接印刷を行うデモンストレーションが行われた

 「携帯電話同士をつなげて、画像や着メロなどデータの交換や対戦型ゲームも行える。また、携帯電話に直接メモリカードリーダー/ライターを外付けすることも可能になるため、携帯電話本体にメモリスロットを搭載する必要もなくなり、機器の小型化にも貢献する。さらにUSBスピーカーやUSBゲームコントローラなど、世の中に普及するUSB対応周辺機器が携帯電話で使えるようになるのは、大きなメリット」(同社)。


 また、携帯電話をキーボードがわりにしてデジカメの画像に文字を入れたり、スキャナとデジカメをつないでスキャンしたイラストをデジカメの画像に取り込むといったこともできる。このように加工した画像をプリンタに直接つないで印刷することも可能だ。「USB OTG対応の新チップを搭載することで、携帯機器の拡張性が一気に広がる」(同社)。


 同社が今回開発した新チップは、USB OTG1.0規格に定められている標準転送レート(12Mbps)をサポートしている。

 「12Mbpsあれば、画像など携帯機器のデータ転送には十分なスピード。しかもUSB OTGは低消費電力なのが特徴。携帯機器向けのインタフェースにはIEEE1394やBluetoothがあるが、IEEE1394は転送速度が400Mbpsと高速だが消費電力が大きい。一方、Bluetoothは消費電力は抑えられるが転送速度が1Mbpsと遅い。このことからも、USB OTGは、携帯機器向けとして最適なインタフェースといえる。海外ではすでに数社がUSB OTG対応チップを開発している。同チップを搭載した製品は、今年第4四半期頃に登場してくる予定」(同社)。

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[西坂真人, ITmedia]

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