News 2002年7月8日 06:03 PM 更新

っぽいかもしれない
IVR2002を見てきた(2/2)


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Augumented Garden

日本バーチャルリアリティ学会のブースにあった「Augumented Garden」。同学会主催のバーチャルリアリティコンテストの昨年のグランプリ*6。 

透明なトレイの中に、白い小さなビーズが敷きつめられている。手にすくってみるとさらさらした感じの、ちょっと気持ちいい「砂」だ。そしてその上にはいくつかの石が置かれている。ピンとくると思うけど、「石庭」のイメージだ。竜安寺の石庭は砂と石によって水の風景を再現したわけだけど、ここでも、それをおこなっているのだ。


 さっき、「砂」を手ですくうっていったけど、これをすると、チャポチャポというような水音が聞える。石を動かしてみる(ビーズの上を投げるように滑らせる)と、ポチャンという水音が聞こえる。

 これだけ。これだけなんだけど、気持ちいい。しばらくチャポチャポ遊んでしまった。で、どうもこれは“あそこ”の匂いがするとおもったら、やっぱりそうだった。慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパス(SFC)から出てきたものなのだ*7

 作成された大和田健人さんと塚田浩二さんにお話を伺ったのだけど、まず、触ってもらうというところからはじまったらしい。触ってもらうなら砂だ。砂、石庭、水。そういうイメージ。

 バーチャルリアリティっていう視点で見ると、これいじっているのは聴覚だけなのだ。視覚も触覚も現実そのまんま。そこに、それにあわせた水音をさせているだけ。それだけなんだけど、それでもう現実のビーズと石とは違うイメージが喚起されちゃう。効率がいいのかぜいたくなのかよくわかんないけど、視覚や聴覚を総動員するVRものとはかなりタイプが違う。

 もっとも「産業用」バーチャルリアリティ展への出展物としては、いまひとつ「それでなに?」とか言われちゃうらしい。まぁこれはしかたない。なにより、これはあんなにぎやかな会場なんかじゃなくて、どっかのロビーみたいなところにさり気なく置かれるべきものなのだ。なんとなくホテルのロビーとかにあって、予備知識なしに石をいじったらポチャンって音がしたら、ちょっといいよね。

 野暮な話なんだけど、仕組みもいちおう。石や手の動きは、トレイの真下に上向きに置かれたカメラが影を撮影することで検知している。これだけだと、石と手の区別がつかないので、トレイに貼りつけられた接触マイクが動きの音を拾うことで、これは石だな、これは手だなとわかるようになっている。あとは、その情報に合わせて水音をさせるというわけだ。

おまけ

 体を使ったデモの風景ふたつ。


動画はここ

 ルミエールの「MANDARA」(既報はここ)を使ったキーパーゲームの実演。

 わたしもやらしてもらったけど、息が切れた。疲れますねっていったら「リハビリにも使われるんですよ」と切り返されてしまった。


動画はここ

 スパイスのモーションキャプチャー「GYPSY3」のデモ。このおねえさんが、踊りまくっているのがなかなかすごい。


*6今年の大会は11月29〜30日に岐阜で開かれる。それに先立って、東京で予選大会が9月18ー19日に開かれるのだそうだ。
*7これこれ参照。この大和田さんは「座」の常盤さんと席を並べてらしたのだそうだ。

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