News | 2002年7月22日 10:43 PM 更新 |
日本アビオニクスは7月22日、マルチメディア遠隔会議システム「CollaboMate(コラボメイト)」を発表した。TV会議システムとしては高画質となるXGA(1024×768ピクセル)の画像を高速で送受信できるほか、液晶ペンタブレットによるイージーオペレーションを可能にした。8月1日から発売する。価格は、通信処理部(ノートPC)/画像処理部/液晶ペンタブレット/木製収納キャビネットで構成された基本システムが130万円。
これまでのTV会議システムは、遠隔地の相手と映像や音声を共有するもの、つまり離れていても顔を突き合わせて会議ができることを目的としたものが多かった。そのため、動画像はリアルタイム性を重視した圧縮率の高いものが中心となる。結果として、送られてくる映像は会議の資料として使えるようなものではなく、結局はあらかじめ作成した資料データをメールなどで先に送っておき、それをもとに会議を行うというのが従来のスタイルだった。
「当社でも早くからTV会議システムを導入していたが、同じ会社内での顔見知り同士の会議に顔が見えるかどうかはあまり意味がない。それよりも、お互いが所有する資料の詳細が、瞬時に共有できることが遠隔会議では重要と考えた」(同社)。
CollaboMateは、さまざまなメディアの会議資料をXGAの静止画として取り込み、高画質のまま遠隔地へ瞬時に送信できる。圧縮しない場合は2Mバイト以上になるXGA画像を高画質のまま瞬時に圧縮するため、画像処理部を独自に開発。ハードウェアによる高速画像処理システムは、1秒間にXGA画像を3枚圧縮できる能力を持つ。「JPEG化されたXGA画像は文字中心のもので50〜60Kバイト、フルカラーの写真画像でも200Kバイトぐらいに圧縮される」(同社)。
通信処理部にTYPE IIのPCカードスロットが2基用意されており、PCで作成した画像データをPCカード経由で取り込めるほか、デジタルカメラの静止画/動画を利用することが可能。また、別売りの同社ドキュメントカメラ「PjMate」(34万8000円)を使って印刷物や立体物、手書き資料の取り込みも行える。
送信するXGA画像は、モニタへの入出力を行うRGB信号データをもとにJPEGデータ化しているため、RGBモニタに表示できる画像ならどんなものでもCollaboMateで送信できる。「PCの画像だけでなく、WSやスーパーコンピュータの設計データなどでも、XGAのRGB信号で出力できるものなら何でも送信可能。また、オプションのドキュメントカメラPjMateを使えば、各自が持ち寄った資料や商品サンプルなどを瞬時にJPEG画像化して、送信できる」(同社)。
通信処理部にはUSB端子を2つ装備しており、USBカメラを接続して従来のTV会議システムのような相手の顔を見ながらのディスカッションも行える。また、別売りのテレミーティングターミナル「VoiceMate」(14万8000円)を使えば、ハンズフリーの音声会議も可能だ。
同社の柴宏社長は発表会の中で「TV会議システムが注目されているが、従来のものはビデオ映像や音声中心で、資料が見づらいという欠点があった。一方、多くのビジネスシーンでは、プロジェクタを多用した“資料中心”の会議が主流となっている。CollaboMateは、自分たちが各地の工場とTV会議を行っていた時に欲しいと思った機能をカタチにしたもの」と、製品開発の経緯を語る。
通信インフラは、ADSLのVPN(Virtual Private Network)に対応。定額のADSL常時接続サービスを利用すれば、低コストでTV会議システムを構築できる。同社ではブロードバンド接続を推奨するが、ISDNやPHS、W-CDMA(FOMA)のような100Kbps前後の“ナローバンド”でも、動作可能な点も注目だ。
これは、画像を表示して説明などを行っている“空き時間”にバックグランドで画像転送処理を行うシステムを採用しているため。「64KbpsのPHS通信でも、1枚のXGA画像を送信するのに要する時間は15秒程度。プレゼンテーションなどでは、1枚の画像の説明に平均20〜30秒の時間を使うため、PHSのような遅い通信環境でも、プレゼン中に画像転送のタイムラグを感じることはほとんどない」(同社)。
操作はすべて、液晶ペンタブレットを使ったペンタッチで行える。「アプリケーション画面は操作を示すボタンが分かりやすく並んでおり、PC初心者でも簡単に操作することができる」(同社)。そのほか、表示した資料画像に上書きできる手書き入力機能やホワイトボード機能、資料のサムネール一覧表示、会議に使用した資料を電子データとして保存する議事録機能を搭載する。
CollaboMateは1対1のシステムで構成されるため、先方にもCollaboMateを導入していることが条件となるほか、TV会議システムの特徴である「多地点接続」には対応していない。(現在検討中で、将来的には対応予定とのこと)。また、130万円の基本システムには、資料を取り込むドキュメントカメラや音声会議のためのテレミーティングターミナルは入っておらず、従来スタイルのTV会議システムも構築したい場合は、さらに出費がかさむ。基本システムは、通信処理部にNECのノートPC(VersaPro)、液晶ペンタブレットにはワコム製といった汎用品を使っているだけに、さらなる低価格化が望まれるところだ。
同社では7月24日からビッグサイトで開催されるInfoComm Japan2002の出展ブースにて、今回の新製品をお披露目する予定。
CollaboMateの主な仕様は以下の通り。
製品名 | CollaboMate(コラボメイト) |
型名 | CLB-100 |
インタフェース | アナログRGB入力(D-Sub15ピン:XGA)×3、アナログRGB出力(D-Sub15ピン:XGA)×2、USB×2、PCカードスロット(TYPE II)×2 |
モニタ | タッチパネル方式15型アモルファスシリコンTFTカラー液晶 |
画像符号化方式 | JPEG符号化方式 |
通信方式 | PPP(ISDN、PHS)、PPPtoE(ADSL)、Ethernet |
サイズ | 465(幅)×445(奥行き)×1100(高さ)ミリ(キャビネット収納時、天板に液晶ペンタブレットを設置した状態) |
重さ | 約45キロ |
価格 | 130万円 |
発売時期 | 8月1日 |
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[西坂真人, ITmedia]
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