News 2002年7月26日 07:10 PM 更新

“女の子”と“災害救助”――日本SGIが手がける2つのロボット

日本SGIが手がける2つのロボット。「女の子」と「災害救助」である。全く方向性の違うロボットだが、協力できることも?

 日本SGIのイメージキャラクターとして、ファッションショーや香水の新製品発表会で活躍中の“女の子”ロボット「Posy」。ホンダ「ASIMO」やソニー「SDR-4X」のように、最先端の技術力を売り物にしたロボットではないが、ロボット事業推進室の大塚寛室長は「Posyのおかげで、(メディアへの)日本SGIの露出機会も増えたし、これまでつながりのなかった業界とも関係ができるようになった」とPosy効果を語る。「日本SGIの人気社員のようなもの」(同氏)。


日本SGIのWebサイトでナビゲーターとしても活躍する3DのPosy。リアルの世界だけではなく、ネットでも「気になる存在にしたい」(大塚氏)。ただ、「Posyのデータを、1回300円でダウンロード販売するといったビジネスをやるつもりはない」という

 Posyは、テクノロジーを全面に押し出したロボットではない。「ファッションショーの動きが、自律なのか無線操作によるものなのかということは、大きな問題ではない」とロボット推進室の秋元大氏が話すほど。だが、技術的に進化するチャンスはある。というのも、日本SGIは現在、NECの傘下にあり(2001年10月26日の記事参照)、NECの開発したコミュニケーションロボット「PaPeRo」からの技術移植が行われれば、Posyの表現力もアップするはずだ。

 今のところ、実際に移植作業が行われているわけではないが、大塚氏は「PaPeRoの画像認識と音声認識の技術は世界でも最高レベル」と評価する。その技術を活用して、恐いオジさんが呼ぶとちょっと怖がるのに、女の人だったらちゃんと近づいていくようにするなど、Posyの“3歳の女の子”としてのふるまいにも現実味が出てくるだろう。

 またロボット推進室では、Posyのほかに、レスキュー分野のロボット開発にも取り組んでいる。日本SGIは6月12日、ゼンリンと提携し、災害救助指令センターシステムを構築すると発表した。日本SGIの大型可視化ソリューション「SGI Viz Theater」とゼンリンが持つ3Dデジタル地図を活用し、レスキューロボットが災害現場から送信する画像を地図情報と組み合わせて表示するシステムを開発している。そのプレゼンテーション用ロボットとして、自社でレスキューロボットを開発したのだ。



開発担当者の名前から「イガロボ」と呼ばれているレスキューロボット。先日の「RoboCup2002」の会場で試運転したところ、「大会エントリーのロボットよりもスムーズに動いていた」(ロボット事業推進室の五十嵐広希氏)という。重量は15キロで移動速度は0.5メートル/秒。フロントにはちゃんと日本SGIのロゴマークが入っている

 まったく方向性の違う2つのロボットだが、日本SGIの中ではどのような位置付けにあるのだろうか?

 「Posyよりも、レスキューロボットのほうが日本SGIとの結びつきが分かりやすいとは思う。実際、RoboCupレスキューには日本SGIも積極的に取り組んでおり、今後も力を入れて行くつもりだ。一方、Posyは何の役に立つのかよく分からないロボットではあるが、それがたまらなくカワイイ(笑)」(大塚氏)。

 可愛らしい衣装を身に付け、ファッションショーで輝くPosy。今度のRoboCupレスキューでは、ナース姿を披露してくれたりしないだろうか……。

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[中村琢磨, ITmedia]

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