News | 2002年8月20日 10:27 PM 更新 |
ネットワンシステムズと日本アイ・ビー・エムは8月20日、ストレージネットワークの新会社「プロストレージ」を合弁で設立すると発表した。新会社は9月2日に設立され、急成長が期待されるIPベースのSAN(ストレージエリアネットワーク)「IP SAN」を中心としたストレージネットワーキングの統合ソリューションを提供していく。
ネットワーク分野のリーディングカンパニーであるネットワンシステムズと、豊富なストレージ製品群を有する日本IBM。この両社の得意分野における技術力やノウハウを結集したプロストレージは、お互いの取扱い製品をユーザーに最適な形で統合し、高性能と信頼性を兼ね備えたストレージ・ネットワーキング・ソリューションを提供していくことを目指している。
ネットワンシステムズの佐藤一雄社長は新会社設立について「ここ数年、ストレージとネットワークを統合したソリューションを提供して欲しいという要望がたくさんあった。当社では、ストレージをネットワークのインフラと位置付けて力を入れてきたが、ビジネスパートナーである日本IBMにも日本のストレージ分野に貢献したいという共通の思想があるのを確認した。業務提携という方法も考えたが、両社の精鋭部隊を集めて新しい市場に向かっていこうということで、新会社設立に至った」と語る。
近年のストレージ市場は、サーバに直接ストレージを接続するDAS(Direct Attached Storage)から、柔軟性・拡張性・可用性などの面で有利なことからネットワークを利用したSANやNAS(Network Attached Storage)へと移行している。
日本IBMの大歳卓麻社長は「インターネットの拡大により膨大なデータがネットワークを介してやりとりされ、10年後にはネットワーク上のデータ量は現在の100万倍になると予測されている。SANやNASといったネットワークストレージ市場を見ても、2006年には5000億円近い規模に達するとの調査報告がある。一方、従来のDASは減少傾向にある。これからのストレージ市場を牽引するのはネットワーク。ネットワンシシステムズが持つネットワーク技術と、IBMが持つ豊富な製品群を生かせる新会社の設立は、重要な意味を持っている」と、成長著しいストレージネットワーク分野での新会社に向けての期待を語る。
新会社の社長にはインキュベータ企業ネオテニーの副社長だった澤田脩氏が就任。出資比率は、ネットワンシステムズが65%、日本IBMが35%となる。ネットワンシステムズの出資比率が高い件について、日本IBMの大歳氏は「これからはネットワークにストレージがついてくる時代。その意味でネットワークに強いネットワンシステムの出資比率が多くなっている。だがストレージ分野はIBM全体でも重要なビジネスと位置付けており、(出資比率の低い)当社が黒子に徹するというわけではない」と説明する。
新会社で新たな市場に挑戦する両社。だが、わざわざ新会社を設立しなくとも、日立製作所とのHDD事業統合の時のように「業務提携」という形での取り組みも選択肢としてあったはずだ。
この件について大歳氏は「業務提携というスタイルでそれぞれの会社にいる人間が一緒に活動することも検討した。しかし、ネットワークストレージ自体が新しい分野。今までの仕事を兼任しながらというよりも、両社の精鋭部隊を集めて専門化した会社を作り、新しい市場を急速に立ち上げたかった」と語る。
新会社のサービスは、設立する9月2日からすぐに開始される。「当面のマーケットは日本市場、売り上げ目標は今年度(2003年3月末)で15億-16億円、2006年でのシェアは15-20%を目指している」(澤田氏)。
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[西坂真人, ITmedia]
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