News 2002年8月21日 10:10 PM 更新

薄型TV市場でのソニーの復権は、次世代ディスプレイから?

ソニーが発表した新WEGAシリーズには、プラズマTVや液晶TVなど話題の薄型TVも含まれている。だが同社は、PDPや液晶パネルを自社開発せず、次世代ディスプレイの研究に経営資源を集中させている

 ソニーが、カラーTV「WEGA(ベガ)」の新シリーズを発表した。一新されたWEGAラインアップの中には、プラズマTVや液晶TVなどフラットパネルディスプレイ(FPD)を用いた薄型TVも含まれている。


プラズマTVや液晶TVなど薄型TVのラインアップも揃えた新WEGAシリーズ

 今、市場では、FPDを使った薄型TVが花盛りだ。今年2月の冬季オリンピックや6月のワールドカップ、そして近年ブームとなっているホームシアター需要などに後押しされ、プラズマTVや液晶TVが販売を大きく伸ばしている。ショップでも薄型TVのコーナーに大きなスペースを使い、単価がかせげる高付加価値商品として力を入れている。

 この分野で先行しているのは、プラズマTVでパイオニアや日立製作所、液晶TVではシャープやSamsungなど。トリニトロン方式のブラウン管で一時代を築き上げたソニーだが、FPD分野では後塵を拝してきた。

 ただし、同社がFPDの技術開発を怠っていたわけではない。シャープやPhilipsと共同で、PALC(Plasma Address Liquid Crystal)方式のFPD開発を進めていたのだ。PALCはプラズマと液晶を組み合わせた表示方式で、早くから次世代薄型TVの本命として期待されていた。だが、コスト面でPDPに対抗できず、現時点で実用化は難しいといわれている。同社でも、今年初頭にPALCの研究開発を打ち切り、実質撤退の意向を示している。

 FPDを自社で持たない同社は、PDPや液晶のパネルを他社からの供給に頼らざるえないというのが実情なのだ。今回の新製品に使われているパネルも、もちろん他社製だ。

 発表会の中で、同社ホームネットワークカンパニーの山下勉プレジデントは「最近、PDPや液晶のパネルを自社で持たないで、ソニーらしい独自の製品が本当に作れるのか、とよく言われる。(プラズマTVや液晶TVの台頭で)市場が大きく変化している中で、『WEGA』をどの方向に持っていくかが重要になっている」と語る。


同社ホームネットワークカンパニーの山下勉プレジデント

 新WEGAシリーズでは、新開発の統合デジタル高画質システム「ベガエンジン」を搭載し、信号処理のフルデジタル化と独自の高画質化回路で同社独自の製品作りを行っている。山下氏は「今回の製品で、WEGAの1つの方向性を出した。ベガエンジンによる高画質処理で、他社と差別化できる」という。

 しかし、同社が誇るトリニトロン方式では、表示装置(ブラウン管)と高画質化回路の両方の自社開発技術で他社との差別化を図ってきた。一方、薄型TVではFPDを内製していないため、表示装置では勝負できない。この件について山下氏は「やはりトリニトロンで行ってきたように、タマ(ブラウン管)と高画質処理の両方を自社で開発できた方が競争力は高まる」と認める。

FPDの本命は次世代ディスプレイ

 PALCがお蔵入りした現在、同社が力を入れているのは次世代ディスプレイとして注目されている「有機EL」と「FED(フィールドエミッションディスプレイ)」だ。

 「ディスプレイの研究は、有機ELとFEDに経営資源を集中させている。有機ELは中−小画面、FEDは大画面の薄型TVに適している。特にブラウン管と同様の原理で薄型TVが可能なFEDには期待も高い。有機ELは来年中に研究のメドをつけ、商品化に向け加速させていきたい」(山下氏)。

 現在のところ、FPDを使った薄型TVのシェアはTV市場全体の10数%にすぎない。しかし、2005年にはTVの半数が薄型TVに置き換わるとの予測もある。薄型TV市場で結果的に他社に出遅れた同社は、急ピッチで研究を進める次世代ディスプレイが立ち上がるまでは、不本意ながらPDPや液晶などFPDを他社から調達していくこととなる。期待の有機ELやFEDが量産体制に入れるのは、おそらく2004年以降だろう。“トリニトロン”で、カラーTVのナンバーワン企業に登りつめた同社だが、今後主流となるであろう薄型TVの分野では、しばらくは追う立場となりそうだ。

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[西坂真人, ITmedia]

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