News 2002年9月13日 04:55 PM 更新

Tablet PCでオレもマンガ家デビュー!(2/3)


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まずWindows Journalでマンガを描いてみる

 とりあえずライトに楽しむなら、Tablet PCに標準インストールされているメモソフト「Windows Journal」を使うのが一番手っ取り早い。まずはこれでマンガを描いてみよう。


Windows Journal

 デフォルトで開くノートは罫線が入ったタイプ。マンガに罫線は不要なので、「ファイル」メニューの「テンプレートからの新規ノート」で「白紙」を選択して開き、無地のメモパッドを用意。ペンは「細−角型」「極細−丸型」「マーカー−1mm」など、太さやペン先の種類を選択可能で、筆圧感知のオン/オフも設定できる。


ペン先の選択と設定

 筆圧感知の有無がもっともビビッドに現れるのが、太めの「マーカー」。書いた感触は良好で、ペンの動きに描線が遅れることもなかった。またComicStudioなどと同様、線は書かれた後で自動的に滑らかになるよう処理される。そのため多少の手のふるえも補正してくれ、初心者でもそれなりに美しい線が描けそうだ。


勝手に滑らかになります

 タブレット使用時に重要になるのが、筆圧設定のカスタマイズ。だが、Tablet PCのOS自体には筆圧設定機能はないようだ。サードパーティ製正式対応ソフトがない現時点では不明だが、ワコム製タブレットがドライバでも詳細に設定できたのに対し、Tablet PCでは各ソフトごとの設定にとどまるのだろうか。やや気になるところだ。

 従って現時点ではタブレットの“感覚”について詳細に云々することが難しい。例えばWindows Journal上では、どうも“硬い”感じがする。「Cintiqでしているようにちょっと力を抜いたりすると、すとんと線が途切れてしまう」(後段で登場するCintiqユーザー)という。だから常にそれなりの力を入れなければ反応してくれない(といっても普通に紙に書く程度の力、という意味)。とはいえ、これはメモ用途に特化したWindows Journal特有の設定という可能性もある。


付属のペン。ワコム製intuosのペンと比べると一回り小さい。もちろん、反対側は消しゴムになっている

 それはさておき、「マーカー」を使って楽しいマンガを描いてみた。複数のペン先を使い分ければそれなりに本格的な作品も制作できそうだ。ただ、下書きを書いた上にレイヤーを重ねて清書する、といった機能は当然ながらあるわけがない。

 マンガができあがっても、普通に保存するとWindows Journalでしか閲覧できない。ここでは「ファイル」−「名前を付けてエクスポート」からTIFFファイルに出力。JPEGに変換してWebで公開できるようにしてみた──のだが、なんとTIFFで保存するとデータがモノクロ2値化され、しかも解像度が低いので相当雑な画像になる。ここは品位を考え、キャプチャソフトで取り込むことにした。

 というわけでパンクな傑作マンガが完成。絵の才能はまったくない記者ですが、Tablet PCなら何となく描けるような気がするぞ。これなら明日の壁際サークルはオレだ!


ふにゃふにゃしたペットマンガブームに一石を投じる力作

「ZDちゃん」誕生!

 うーむ、しかしいかに傑作とはいえ、記者のヘタレマンガでTablet PCの実力を評価するのもアレだ。そこで無名同人くんA(本人の希望でペンネーム、年齢非公開)を召喚しよう。彼は現在、15型CintiqとPhotoshop、Painterを駆使して完全ペーパーレス環境下で同人誌を制作している。

 以前は原稿用紙に書いてスキャナで読み取り、PC上で完成させるというプロセスだったという。ペンタブレットは使っていたものの、「机が狭くてディスプレイとタブレットの位置が合わない」との理由から線までは描けず、用途はカラーCGのペイントのみだったという。ところが量販店の店頭でCintiqに出合い、「これはいける」と確信。ボーナスをはたいて購入に踏み切った。

 液晶タブレットのメリットは?「小さなコマをB5原稿用紙に描くのは大変だった。PC上なら拡大して描けるから簡単」「書き直しや修正はすぐできるし、転用も簡単だし、何よりインクで汚れないし。名刺交換した指先にインクが残っていて『ヤベェ』とかあせらなくても済む」。制作に時間を割くのが難しい社会人の彼にとって、完全PC化の恩恵は大きかったようだ。本文のデータ入稿に応じる印刷所も増えており、PC化によるデメリットは「感じたことがない」という。

「ところでジャンルは?」
「地味」
「売り上げは?」
「だから地味」

 とのこと。

 さて、では実際にマンガを描きながら彼にTablet PCを評価してもらおう。お題は用意してあるゼ! 色気に乏しいIT硬派サイト・ZDNetに彩りを添えるマスコットギャル「ZDちゃん」だ! ZDNetなんだから、もちろんロボットね。

「オレ版権ものは描かないことにしてるんだけど」
「これも版権ものっていうのか?もとい、もしウケたらZDNetに連載コーナー作ってさ、本作ってコミケのソフトバンク・パブリッシングブースで売る計画だってあるんだからさ!目指せ『べーしっ君』!!」
「ウソだろ」
「うん。とりあえずZDちゃんは萌え萌えに頼むよ」
「そんなのが描けるんならもっと売れてます」
「(人選ミスか……)しかしマンガはキャラだ!キャラ立ちだ!キャラを立たせるには特徴が欲しいな!」
「では人型ロボットだけに、モップで廊下を掃除するのが好きとか」
「おいおい、商業誌でパクリはヤバイよ」
「なら鯛焼きが好きとか」
「せめてどら焼きと言ってくれよ……」

 秋葉原の喫茶店内を思わせる虚ろなオタク問答の末、場当たり的ながら「本格ITまんが ZDちゃん」の骨格は固まった。では早速、実際に執筆してもらおう。


とりあえずAが液晶タブレットとPainterで描いたZDちゃん。「めんどくさいんで昔描いたデータをコピーして使い回した。ごめん」だそうで、これぞPC化のメリット──っておい!(注・不適切な箇所は編集部で塗りつぶしています)

[小林伸也, ITmedia]

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