News | 2002年9月13日 04:55 PM 更新 |
お断り
描画に使用した主なソフトはセルシス「ComicStudioDebut」。しかし断っておきたいのは、同ソフトは現時点ではTablet PCには対応していないということ。実際、インストールして起動すると「タブレットドライバがインストールされていません」と警告されてしまう。そのままでもソフトは一応動作するものの、キモとなる筆圧感知が効かないため、ソフトが持つパフォーマンスはほとんど発揮できない。
本来の目的からすれば、本レビューもこの時点で打ち切りにしたいところ。だがTablet PCの実力の片りんをうかがい見るべく、ComicStudioDebutの「自動入り・抜き機能」を活用することで強引にマンガらしきものを描いてみた。ただ使用したTablet PCのOSと本体も製品版ではない。そのため、以下のレビューについてはあくまで参考程度に考えてほしい。セルシスは11月末の正式対応をアナウンスしている。
Ctrl+Z!!
さてA氏はComicStudioはほぼ初体験。慣熟度と時間制限を考慮して、あらかじめPainterで描いておいた下書きをComicStudioにインポート、ComicStudio上で「作品」ではなく「コマ」として一気に描き、PSDファイルに書き出し、液晶タブレット上でPainterとPhotoshopを使って最終的に仕上げる方法を採用した。ただし人物などのラインはすべてComicStudioで描くことを条件とした。
「すげえ、ホントにGペンみたいだ」とComicStudioに感心するA氏。でも「筆圧感知が効かないのはつらいよ」と泣き言を言いだし、「やっぱり“すとん”と線が切れちゃう」と四苦八苦。「そもそも非対応ソフトを使った反則レビューなんだからさ」となだめすかし、とにかく続行。
「15型Cintiqと比べてどう?」 「これは10.2型かな?ちょっと小さいかも。でも縦画面表示ができるのはすごくいいね──ん?んん?」 「どうした無名同人A氏?」 「キーボードショートカットは使えないのかなあ」 「そりゃキーボードはディスプレイの裏だからな」 「じゃあCtrl+Z(アンドゥ)はどうすればいいのかな」 「『編集』メニューから実行すればいいだろう」 「めんどくさい」
そうなのだ。今回の実験はTablet PCの魅力を探るのが目的。そのため回転式ディスプレイ機構を存分に活用し、PCをタブレット型に変形させて使用している。ただこの場合、キーボードがディスプレイに隠されてしまうため、キーボードショートカットを駆使していたユーザーにとっては厄介なことになる。キーボードの存在を前提にした既存ソフトを完全にペンで操作しようとすると、必ずしも使い勝手が向上するということにはならないのかもしれない。とにかくがんばれ無名同人A氏!
「いいかもしれない」
対応ソフトもなく、OS・PCともに製品版ではない状態では結論しがたいが、「“硬さ”はともかく、使った感じは液晶タブレットと変わらないんじゃないかな」というA氏。Tablet PCの総合評価は「いいかもしれない。次にノートPCを買い替える時はTablet PCかな」。
というのも「マンガ制作用マシンとして考えた場合、拡張性で劣るノートPCがメイン機になりうるのかどうかは何とも言えない。ただ制作環境がポータブルになるのはすごいこと」だという。なるほど、ではこれからの即売会場では「スケブお願いしまーす」じゃなくて「Tablet PCお願いしまーす、無線LANで送ってね」になるのだろうか。「それはいいね、使い回しがきくから何人に依頼されてもOKだ。……何か違うような気はするが」。
「ギャハハハハハハ、よくやった無名同人A氏、こりゃ傑作だよ!」
「最近疲れてる?」
「早速印刷所に1000部発注だ!」
「……。最初はコピー本でどうだろう」
「あらそう?即売会に出るならジャンルはどうしようか。オレたちが考えたマンガなんだからやっぱ『創作』だな。んでロボットが出てくるんだから男の子向けだ。ということは『男性向け創作』」
「そうだね」
また一歩、野望に近づいた!!
[小林伸也, ITmedia]
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