News 2002年10月8日 06:38 PM 更新

アジア市場は光ディスク産業の大きな課題――東芝・山田氏

東芝デジタルメディアネットワーク社の首席技監、山田尚志氏はCEATEC JAPAN 2002で行った講演の中で、アジア市場が今後の光ディスク産業にとって大きな課題になっていると語った

 東芝デジタルメディアネットワーク社の首席技監、山田尚志氏はCEATEC JAPAN 2002で行った講演の中で、記録型の光ディスクビジネスを育てていくためには、「アジアを正常な市場にしなければならない」と、同市場が課題になっているとの認識を示した。

 光ディスク産業では、DVDプレーヤーの普及率が年々高くなっており、今後は記録型DVDドライブやDVDレコーダの普及が進むと見られている。2001年における記録型DVDドライブは世界全体で140万台程度。これが2002年度は400万台ぐらいになり、その後も倍々ゲームで伸びていくと予想されている。一方、DVDレコーダも今年は100万台の出荷が見込まれており、以後はドライブとほぼ同じようなペースで増加。2004年には600万台になるという予想だ。

 この中で、アジア市場は、最も急激な拡大を遂げているマーケットだ。同氏によれば、「最近では、米日欧アジアの市場比率は、2:1:1:2ぐらいの割合になってきている」という。特にインドが急増中で、「このまま行くと5年後には中国を追い越す市場になる可能性すらある」(同氏)。

 しかし、その一方で、アジア市場はいわくつきの市場でもある。違法コピーが横行しているだけでなく、CDやDVDのパテントの支払いについての問題も起こしているからだ。

 山田氏はこの点について、「(現時点では)アジアの所得水準が低いため、今はまだどうしようもない。しかし、所得水準が上がれば正常な市場になる可能性はある」と今後の経済成長に期待を寄せる。

 ただ、併せてアジア市場での著作権に関しての意識の低さと法整備の遅れを指摘。現段階でコピーコントロール技術の導入による著作権保護を行っても「技術だけでは、いたちごっこを繰り返すだけでどうしようもない」と言い、「(コピーコントロールなどの)技術だけでなく、法律やユーザーの意識改革なども重要だ」と、著作権教育や法整備など、非技術的な側面からの著作権保護対策が、アジア市場の健全な育成にとっても必要だと訴えていた。


アジア市場の急激な拡大は、今後の光ディスク産業にとっても重要な課題

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[北川達也, ITmedia]

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