News 2002年10月8日 09:46 PM 更新

富士写、ダブルメディアスロットの動画デジカメ「FinePix M603」

富士写真フイルムが、VGA/毎秒30フレームの高画質動画も撮影できるデジカメ「FinePix M603」を発表した。xD-Picture CardとMicrodriveが使えるダブルメディアスロットを備えている

 富士写真フイルムは10月8日、動画の撮影・編集機能を搭載した新コンセプトのデジカメ「FinePix M603」を発表した。11月10日から発売する。価格は8万8000円。


動画デジカメ「FinePix M603」

 型番に付けられた「M」の文字が示すように、FinePix M603は同社デジカメの新しいカテゴリーとなる。そのコンセプトは「高画質の静止画&動画が撮影できる」ことだ。特に、従来のデジカメではオマケ的な機能だった「動画撮影機能」を充実させたのが大きな特徴となっている。

 セールスポイントの動画機能は、VGA(640×480ピクセル)で毎秒30フレームの音声付き撮影が可能だ。記録形式はAVI(Motion JPEG)形式。長時間の動画撮影を可能にするため、記録メディアにxD-Picture CardとMicrodriveを採用しており、本体にこの2種類のメディアを扱える「ダブルメディアスロット」を装備した。


本体底部にダブルメディアスロットを装備

 両メディアとも静止画/動画両方の記録が可能だが、128MバイトのxD-Picture CardではVGA毎秒30フレームの動画が1分51秒しか撮影できない。1Gバイトの大容量タイプがあるMicrodriveでは、VGA毎秒30フレームで15分19秒、QVGA毎秒15フレームでは58分39秒の動画を撮影できる。容量や扱いやすさの点から、静止画はxD-Picture Cardで、動画はMicrodriveで、といった使い方を同社では推奨している。2種類のメディアを挿入した場合、デフォルトではxD-Picture Cardが優先されるが、メニュー設定で優先メディアは変更できる。

 「現時点で128Mバイトの容量しか発売されていないxD-Picture Cardで動画撮影は、正直言って無理があるのでMicrodriveも使えるようにした。だがxD-Picture Cardも、将来的には8Gバイトまで大容量化する予定。8Gバイトあれば、VGA毎秒30フレームの最高画質でも2時間以上の動画撮影が可能となる。いずれは、動画も静止画もxD-Picture Card1枚で対応していく」(同社)。

スーパーCCDハニカムIIIで高画質動画を実現

 VGA(640×480ピクセル)で毎秒30フレームの動画は「動く静止画」という発想で、従来のデジカメの動画とは一線を画している。このような高画質動画を可能にしたのが、今年初頭に登場した第3世代ハニカム「スーパーCCDハニカムIII」だ。

 この技術には、CCD上で垂直・水平方向にそれぞれ2つずつの画素を混合する「CCD内水平/垂直画素混合」という新技術が盛り込まれており、これによって信号レベルは4倍、S/Nは2倍になった。また、画素数が減ったことによって信号処理が高速化され、結果として動画撮影の処理能力が向上したため、VGAサイズで毎秒30フレームという高画質撮影ができるようになった。

 FinePix M603では有効310万画素のスーパーCCDハニカムIIIを搭載。ハニカム信号処理システムによって、静止画の最大記録画素数は2832×2128ピクセルとなる。ズームは光学2倍・デジタル最大4.4倍を搭載し、最大約8.8倍のズーミングが可能。ズームは動画撮影中も行えるほか、被写体の動きやシーンに合わせてAF/AE/AWBが追随する「コンティニュアスAF・AE・AWB」も装備する。

 デジカメとしては大型となる2.5型の低温ポリシリコンTFT液晶ディスプレイを本体背面に搭載。動画の確認や編集作業をやりやすくした。ただし、大画面液晶を採用した分、光学ファインダは省略されている。


デジカメとしては大型の2.5型低温ポリシリコンTFT液晶ディスプレイを搭載

 動画の一部分を切り出して編集できる「動画切り出し機能」や、動画のワンシーンを静止画(VGA)として切り出せる「静止画切り出し機能」を搭載。そのほか、撮影した動画を12分割の一覧表示ですばやく検索できる「クイックサーチ機能」や、早送り・巻き戻し再生/リピート動画再生/動画ズーム再生など多彩な動画再生機能を備える。

 本体サイズは64.5(幅)×31.6(奥行き)×93.3(高さ)ミリ、重さは210グラム(本体のみ)と軽量コンパクト。手ブレを軽減させる「アクショングリップ」や、外光など明るい場所でも液晶ディスプレイを見やすくする「専用液晶フード」を標準で同梱する。電源は専用リチウムイオン充電池を使用。別売りの「ピクチャークレードル」(6500円)に置くだけで、簡単に充電やPCへのデータ転送が行える。


アクショングリップと専用液晶フードを標準同梱


別売りのピクチャークレードル

 FinePix M603の主な仕様は以下の通り。

製品名FinePix M603
撮像素子有効310万画素1/1.7型スーパーCCDハニカム(原色フィルター採用)
記録画素数2832×2128/2048×1536/1280×960/640×480ピクセル
記録方式静止画:JPEG(DCF/DPOF対応)、動画:AVI(Motion JPEG)
動画撮影640×480/毎秒30フレーム、640×480/毎秒15フレーム、320×240/毎秒15フレーム
レンズ光学式2倍ズームレンズ(35mmカメラ換算で38〜76ミリ相当)、F3.2〜11
電子ズーム最大4.4倍(光学2倍と併用して最大8.8倍)
感度設定ISO 160/200/400相当(1メガモードNOMAL時 800/1600)
ファインダーなし
液晶ディスプレイ2.5型低温ポリシリコンTFTカラー液晶(11.8万画素)
記録メディアxD-Picture Card(16Mバイト同梱)、Microdrive
電源専用リチウムイオンバッテリ(NP-60)
サイズ64.5(幅)×31.6(奥行き)×93.3(高さ)ミリ
重さ210グラム(本体のみ)、240グラム(撮影時)
価格8万8000円
発売時期11月10日

エントリーモデル「FinePix A203」

 また、エントリーモデル「FinePix A203」も併せて発表された。これはFinePix A303の2Mピクセル版という位置付けで、画素数以外はA303と同等の機能を持つ。

 有効200万画素の1/2.7型正方画素原色CCDを搭載。97(幅)×63.9(高さ)×34.3(奥行き)ミリのコンパクトボディに、光学3倍ズームレンズを搭載している。重さは145グラム(本体のみ)。単3形アルカリ乾電池2本で最大撮影枚数約5000枚、連続撮影時間300分を可能にした。価格は4万4800円で、11月24日から発売する。


有効200万画素・光学3倍ズーム搭載のエントリーモデル「FinePix A203」

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[西坂真人, ITmedia]

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