News | 2002年1月30日 10:15 PM 更新 |
富士写真フイルムは1月30日,同社独自のスーパーCCDハニカムを進化させた「第3世代スーパーCCDハニカム」を発表した。また,第3世代スーパーCCDハニカムを使ったデジタルカメラとして,コンパクトタイプの「FinePix F601」,L字型ボディに大口径レンズを搭載した「FinePix S602」,レンズ交換式一眼レフ「FinePix S2 Pro」の3機種も合わせて発表した。
平成11年に開発した同社独自の高画質技術「スーパーCCDハニカム」は,フォトダイオードの配列を従来型CCDの正方格子配列から45度回転させ,さらに形状を受光面積の大きな8角形することでハニカム(Honey-comb=蜂の巣)構造に配列したCCDだ。昨年には,さらなる多画素化とノイズ低減によってシャープな画質を実現させた第2世代スーパーCCDハニカムが開発されている。
スーパーCCDハニカムの特徴は,受光効率が高く,感度や解像度,ダイナミックレンジ,S/N,色再現などをバランスよく向上させることができる点だ。特に,実際に撮像素子として機能するCCD画素数(有効画素数)よりも約2倍もの記録画素数が得られるため,画素数競争においては大きなアドバンテージとなっていた。
しかし,デジカメ画素数は有効画素数を優先するようにしたガイドラインが昨年8月に日本写真機工業会から発表されてからは,画素競争も一段落し,それに呼応するかのように昨年9月以降に発表された同社デジカメでは,スーパーCCDハニカムを採用した製品がめっきり減っていた。
|
第3世代スーパーCCDハニカム |
3代目となった新しいスーパーCCDハニカムは,これまでの「高解像度で高画質」から「高感度・高品位で高画質」へと路線を変更しているのが特徴だ。
ただし,ハニカム構造によって高解像度を得ることでは,大きな変更はない。異なるのは,ハニカム処理によって得た画素4つ分を加算して1つにすることで感度を4倍にする「画素加算信号処理」という新技術を搭載したことだ。4画素を1つにまとめることで,解像度は2832×2128ピクセルから1280×960ピクセルへと小さくはなるが,感度はISO1600相当の撮影が可能となる。もちろん,従来の感度(ISO160/200/400)ならば,6メガピクセルの最高解像度で撮影が行える。
|
画素4つ分を加算して1つにすることで感度を4倍にする「画素加算信号処理」 |
また第3世代スーパーCCDハニカムでは,CCD上で垂直・水平方向にそれぞれ2つずつの画素を混合する「CCD内水平/垂直画素混合」という新技術も採用した。これによって信号レベルは4倍,S/Nは2倍となり,高感度・高品位な動画撮影が実現した。また,画素数が減ったことによって信号処理が高速化され,結果として動画撮影の処理能力が向上。VGAサイズで毎秒30フレーム撮影を可能にした。「オマケ程度だったデジカメの動画機能が,本格的なものになった」(同社)。
|
CCD上で垂直・水平方向にそれぞれ2つずつの画素を混合する「CCD内水平/垂直画素混合」 |
この第3世代スーパーCCDハニカムを最初に搭載してくるのが,2月18日より発売されるFinePix F601だ。歴代のスーパーCCDハニカム機同様スタイリッシュな縦型ボディに光学3倍ズームを搭載。有効画素数は310万画素だが,ハニカム信号処理システムによって記録画素数は603万画素(2832×2128ピクセル)の高解像度撮影を可能にした。
|
FinePix F601 |
だが,新しいスーパーCCDハニカムの威力が発揮されるのは,1メガモードNOMAL(1280×960ピクセル)時での撮影だ。このモードでは,新技術の画素加算信号処理によってISO800/1600という高感度撮影を可能にした。ISO1600相当の感度があると,ロウソクの炎程度の明るさで撮影が可能となる。つまり,幻想的なキャンドルショットが手軽にデジカメで楽しめるというわけだ。
高感度の活躍場所は暗所ばかりではない。スポーツシーンなど動きの速い撮影時に,感度が高ければその分シャッタースピードをより高速にできるのだ。