News 2002年10月10日 10:30 PM 更新

クレードルはなぜ付いた?――シャープ「MURAMASA MM1」(2/2)


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 例えば、同社が発表会の席上で強調したものの1つに、キーボードがある。251×206×13.7ミリ(最大の厚さは19.6ミリ)という小型ノートだが、OADG仕様87キーのキーピッチは17ミリ。キーストロークは1.7ミリとかなり浅いのだが、実際にキーを押してみると、きっちりとしたクリック感があって、小型ノートにありがちなペラペラした感じではけっしてない。このあたりは「かなり苦心した部分」(開発担当者の情報システム事業本部 澤近京一郎氏)だそうだ。キーの荷重は50−60グラムに設定されている。

 一方、キーのタイプ音はほとんどしない。この静音設計もポイントの1つで、CPU(Transmeta Crusoe TM-5800/867MHz)の冷却もファンレス。基板の上下から放熱するスタイルになっているという。

 薄さと同時に強度を保つことには、もちろん配慮がされている。ユニット別で見ると、厚さはHDDが5ミリのほか、キーボードが4.2ミリ、タッチパッドが0.35ミリなど。極薄の部品を使って内部を可能な限り薄くしているわけだ。ちなみに内蔵のワイヤレスLANのアンテナは、液晶ユニット側の上部にダイバーシティアンテナとして配置され、この厚さも0.26ミリだ。

 これを包む側(がわ)の方は、表示カバーと本体下のキャビネットに0.8ミリ(一部0.4ミリ)の極薄肉化加工を施したマグネシウム合金を使用。また、本体上キャビネット部分や液晶ユニットの表示マスク部分などには、厚さ0.4ミリのアルミニウム合金を使い、堅牢性を確保した。

 これだけ薄ければ、当然、CD、DVD、FDDなどのドライブは外付け(別売)だが、USB2.0対応のUSBコネクタがマシンの左右に1つずつ配備されている。インタフェースは他にディスプレイ、オーディオ出力が1つずつ。PCMCIA2.1準拠のPCカードスロットが1つ。

 ネットワークインタフェースは先述のワイヤレスLAN(IEEE802.11b)に加え、100Base-TX/10Base-TのRJ45コネクタがある。インタフェース周りでは他のMebiusと比較して、IEEE1394ポートなど、省かれているものも少なくないが、フルモバイルユースのノートということを考えれば、十分な仕様と言えそうだ。


MM1用の周辺機器。クレードルは1台が本体に同梱されるが、別売でさらに購入することができる


他のMebiusなどとの共用で提供されるCD-Rドライブなど

 フルモバイルという点で1点、気になるのは、バッテリーの持ち時間だろうか。カタログスペックによれば、内蔵の標準バッテリーでの駆動時間は3.2時間。ただ、測定に使ったベンチマークはJEITA1.0で、省電力モード(バッテリーの最大利用)時での計測数値ということなので、タフな使い方をするとこの時間は望めないだろう。実使用に近いところでの持ちがどのぐらいになるかが気になるところだ。ヘビーな使用になれば、別売の中容量バッテリー(5.7時間)や大容量バッテリー(9.5時間)が必要になるだろう。

 最後に特筆しておきたいのが、MURAMASA MM-1用に用意されているオリジナルインナーケース。これは「シャープスペースタウン PRO工房」で11月下旬から発売されるもので本牛革製。それもミンクレザーといわれる高級品を使っており、ぬめり感のある手触りが非常に良かった。外付けのポケットなどはないシンプルな作りが、MURAMASA MM-1のせっかくの薄さを損なわない。普通に売れば数万円するが、MURAMASA MM-1の販促を兼ね、利益を出すことは考えないため、「8千円ぐらいに設定する予定」(同社SST推進センター主事・鎌田慶一氏)だそうだ。同じく本革製のマウスパッドも3千円ぐらいで売りに出すという。

 また、本体上面のキャビネットをカラーキャビネットに交換するサービスを、「Mebiusアップグレードサービス」でやはり11月下旬から行う。カラーは5色あり、こちらはだいたい2万円ぐらいになる見込みだ。


牛革製の専用インナーケースはロゴ入り


交換用のカラーキャビネットは5色ある

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[中川純一, ITmedia]

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