News 2002年11月20日 01:21 PM 更新

どうなる次世代光ディスク 第2回
Blu-ray Discレコーダは何ができるのか(2/4)


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 このため、ディフェクトマネジメントは最初にきちんと規定しておかないとAVとPCで再生互換性をとることが難しくなってしまう。さらには、各社で自由に実装されてしまうと、A社のレコーダで記録したメディアに対しては、B社では記録できないといったことや、最悪の場合は、再生すらできないなどということにもなりかねない。

 実際にPCの世界では、CD-RWやDVD+RW、DVD-RWなどをフロッピーライクに使用するために、“後”からディフェクトマネジメントをサポートしたMt.Rainierなどの規格化が行われ、そこではこれまで使用されていたフォーマットとは異なるレイアウトが取られている。

 Blu-ray Discではそういった点に考慮し、ディフェクトマネジメントを最初から規定。物理的なレイアウトの互換をとった上で、AV用に特化したライトモードを実装したと想像される。例えば、民生のDVD-RAM/Rレコーダが、書き込み後のベリファイ処理を無効にして映像を記録しているのと同じだと考えてもらうとわかりやすいだろう。その点でも、Blu-ray Discは、「DVD-RAMの良いところとDVD-RWの良いところを取った」ようだ。

 また、田中氏は「メディアの書き換え回数は1000回あれば十分」とした上で、「ディフェクトをきちんとした場合、物理的に書き換え可能回数が1000回だとしても、ユーザーの使用感から見れば、書き換え10万回のDVD-RAMと遜色ない信頼性になる」と、その信頼性の高さを強調。

 ファイルシステムも、「メディアの特性に負担をかけないように、繰り返しの記録再生とか、そういった過度な要求をメディアに対してしなくても良いような工夫を施している」(田中氏)と話す。

新しいファイルシステムとエラー訂正を採用

 この話からも分かるように、Blu-ray Discでは新しいファイルシステムが採用され、エラー訂正もDVDとは異なるものが採用されたようだ。

 まず、論理ファイルシステムについて、田中氏は「Videoレコーディング用のファイルシステムは、今はUDFではない」とした上で、その特徴を「今のビデオレコーディングに最適化した形になっている」という。もちろん、このファイルシステムは、AV専用というわけではない。「現実にはPCでも使えると思います」(田中氏)。

 ただし、Blu-ray DiscがUDFの使用を完全に否定しているわけではない。「ファイルシステムは、割とフレキシブル。後でソフトウェアだけインストールすれば済む話が多いので、今は、UDFを使っていないだけ。必要があれば、それを考慮しなければならないこともあるかもしれない」(同氏)。

 加えて、「今のDVD-RAMも現実にはFATシステムで使用できている。これを見てもらっても分かるように、Blu-ray Discでもファイルシステムを変えることは可能」とし、記録型DVDやCD-R/RWのようにファイルシステムは比較的自由に組み合わせて使用できるという。

 エラー訂正については、「エラー訂正ブロックの単位は64Kバイト」とした上で、「保護層を0.1ミリと薄くしたので、ディフェクトの影響を受けやすいかもしれないということを懸念した。そこで、それに対して強くなるような設計をした」。現実には、「(保護層が)100μメートルもあれば、かなり保護されるということが分かってきた」が、将来、裸ディスクにした場合の大きな埃がついたときの影響や、中程度の比較的小さな埃でもエラーが起きるかもしれないということを考え、「そういうものに対する訂正能力を上げるような設計をしている」(同氏)という。

 また、気になるVideoレコーディングの機能については、「基本的には、現行のDVDレコーダでできることはすべてできると考えてももらって差し支えない」とし、ディスクメディアの特徴である「フラグメントレコーディングもサポートしている」と話す。

 また、Blu-ray DiscではHD-TVの信号を扱えるので、「それに耐えることができるように考えている」と、HD-TVの信号を記録するための拡張が施されていることも明らかにした。

2層記録もサポート。今後は再生専用と追記型へと展開

 Blu-ray Disc規格の今後のファミリー展開については、「2層記録の仕様は盛り込んだ。もちろん、2層記録をサポートした製品を設計することは可能。今後は(再生専用の)ROM、そして(追記型の)Rの規格を策定することになる。順番は、常識的な線からいけばROMからということになるでしょう」(田中氏)。

 注目されていた2層記録は現在のリライタブル規格にすでに盛り込み済みであり、2層記録へ対応するかどうかは、「設計時のチョイスとなる」(同氏)というわけだ。

 また、同氏によると「再生専用のROMの規格化は現在、急ピッチで行っているところ」。具体的には「Videoフォーマットについては、リライタブルがすでに決まっていますから、それをベースにそれとの整合性を考えながら後で考えるということになる。記録容量は、片面最大27Gバイト。もちろん、片面2層もサポートしている」という。

[北川達也, ITmedia]

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