News | 2002年11月22日 01:23 PM 更新 |
COMDEX/Fall 2002でMicrosoftが紹介した次世代Office、通称Office 11は「XMLの強化」も大きな機能改善点の1つだ。MicrosoftはOfficeからXMLを通じてビジネスロジックに直接接続することで、エンドユーザーはライブの情報を簡単に引き出し、使い慣れたOfficeの機能を用いて情報を分析、再利用できるようになると話す。
デモンストレーションは、XML対応の全機能を見せたわけではないが、簡単なデモの中でもその実力の片鱗はうかがえるものだった。
Excelの場合
Excelの編集メニューにはXMLサブメニューが追加され、そこからデザイン機能を選ぶとXMLスキーマを開くことができる。もちろん、ローカルに保存されたXMLスキーマだけでなく、URLを入力することでWebサーバにアップロードされているスキーマにアクセスすることも可能だ。
XMLスキーマを開くと、XML Structure作業ウィンドウが開き、スキーマの定義内容がツリー構造で表示される。ここでさらに [Edit XML Desighn Mode] を選ぶと、スキーマ編集を行うことも可能なようだが、デモンストレーションでは説明をスキップしたため詳細はわからない。XML構造ツリーから各要素をマウスでExcelのセルへとドラッグ&ドロップで関連付けを行うと、セルの内容が割り当てたXMLデータの各要素へとリンクされる。
必要な情報を同様の手順で表に割り当て、XMLのデータソースとクエリ、データレンジなどを指定してやれば、後はExcelが直接データソースにアクセスし、セルの内容を埋めてくれる。
日常的に利用するワークシートを保存してテンプレートとして利用すれば、いつでも最新の情報を報告書としてまとめたり、Excelの機能を用いてその時点での情報を分析するなど、バックエンドの期間情報と連動した動的な文書作成や分析作業を行うことができる。
Wordの場合
Wordからは.NETフレームワークで提供されるWebサービスのデータを、直接文書内にリンクさせることが可能になる。作業ウィンドウで利用したいサービス(例えば株価情報)を選び、作業ウィンドウ内でパラメータを指定した後、情報の挿入を指示すると、Word文書のカーソル位置にWebサービスから得られたXMLデータが挿入される。
挿入されるのはテキストデータではなく、Webサービスへのコネクションであるため、元となるデータが変更されれば、文書内容も動的に変化させることが可能だ。
デモでは株価情報を取得して、Wordに表として貼り付ける機能が紹介されたが、自社で頻繁に利用する情報をWebサービスとして社内システムに実装しておけば、XMLによる接続を通じ、Word文書の任意の場所で最新の情報を引っ張り出せる。
導入効果がハードルの高さを上回れるか、が鍵に
Excelの実装、Wordの実装は共に、社内の情報システムに柔軟性を持たせる手段として有効ではある。何より、社内の情報システムで生成されたデータをXMLで取り出し、使い慣れたツールで文書作成やデータ分析を行える点は斬新。
特に情報システムパッケージ製品の多くがXMLに対応を進めていることを考えると、基幹システムで生成されるさまざまな切り口の情報を簡単に再利用できる点は、多くのユーザーが歓迎するのではないだろうか。今まで情報を何らかの形で抽出し、ExcelやWordに取り込むか、簡単なデータであれば転記するといった作業を必要としていたのが、直接システムと接続して生の情報を用いた作業を行える。
ただ、すべてのユーザーがこの機能を使えるようにするためには、何らかの開発作業やエンドユーザーの再教育が必要になる。Officeをプラットフォームに情報を引き出すアプリケーションを開発するか、あるいは、OfficeのXML対応機能の使いこなしはもちろん、自社の情報システムとどのように結びつけて利用すると良いかといったことを社内教育の中で徹底していくか、いずれかの道をたどらなければならない。
もちろん、個人的なスキルとしてOfficeのXML機能を使いこなせるのであればいいが、ExcelやWordを必要としているすべてのユーザーが使いこなすまでには、いずれにしても相応のコストと努力が必要になる。
一方、Office 11をプラットフォームにユーザーフロントエンドの環境を整えるとなると、Officeへの依存が高くなりすぎると感じるユーザーもいるはずだ。もちろん、XMLベースで情報再利用の経路を確保していくことは、将来的にOffice 11以外のアプリケーションと接続する上でも無駄にはならないだろう。
Microsoftはまだ、Office 11のXML機能が作業の効率化にどれだけ貢献するかを具体的な数字で示してはいない。来年の夏までに、どれだけ導入効果を数字として挙げ、それが経営をどう変えていくか、ユーザーに対して説得力のある数字を示せるかどうかが、この機能の成否を握っているのかもしれない。
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