News | 2002年11月19日 12:50 PM 更新 |
ここ数年、COMDEX/Fallの前夜祭として定着していたGates氏の基調講演は、昨年と同じDigital Decade――すなわちデジタル時代をテーマにしたものだった。だが、TabletPCのコンセプト発表に止まった昨年とは異なり、今年はいくつかの具体的な成果と計画を発表できた。Gates氏は技術革新を続けることで、将来のビジネスチャンスを得られると力説。現在は可能性でしかないことに関して、それを実現させると話した(さめかけている業界の面々を、これで奮い立たせることができたかどうかはわからない)。
Microsoftの最近の製品戦略は、おしなべて.NETのコンセプトをベースにしたものとなっている。PocketPCやSmartPhone、SmartDisplay、Media Center PCなどはすべて、.NETフレームワークで構築されたサービスを利用するためのクライアントハードウェアのアーキテクチャを定義するものだ。
ただし、今回の基調講演で発表された内容は、一部の製品を除くと“可能性の実現”を想起させるほどには目新しいものではない。MicrosoftはDigital Decadeについて、まだ最初の一歩を踏み出しただけだ、と強調している。強烈なインパクトを与える具体例を、示しきれずにいるのだ。より具体的な形で、Microsoftのビジョンを示すことが、来年以降のテーマになるだろう。同社の示すビジョンは、昨年よりも確実に前進したが、まだ万人を納得させるほどにはなっていない。
まずGates氏は、家庭へのデジタル技術の浸透について紹介。先日、サービスが開始されたばかりのXbox Liveや、ViewSonicが製品を発表を行ったSmart Display、Microsoft製の無線LAN製品、βテスト実施中の次世代MSNクライアント「MSN8」、大幅な機能強化で本格的なビデオ編集が可能になるMicrosoft Movie Maker 2、コードネーム“Freestyle”で知られ、来年には日本語版も予定されているWindows XP Media Center Editionなどのデモを行った。
しかし、この中で新しいニュースと言えるのは、Media Center PCを出荷するOEMパートナーに、GatewayとALEINWAREの2社が加わったことだけ。それに限らず、デジタルeホームに向けての戦略において、Microsoftは明らかに苦戦を強いられている。
次にGates氏が水を向けたのは、さまざまな目的、利用スタイルに合わせて、最適化したデバイスを選択できるようにプラットフォーム技術を整備することだ。前述した.NETサービスの“受け皿”としての環境整備とも言える。
ここでのニュースはDell Computerが発表したPocketPC「Axim X5」とHewlett-Packardの新作PocketPC「iPAQ 1910」だ(関連記事)。前者は200ドルを切る価格、後者は薄型・軽量を推し進めることでユーザーニーズに応える製品。HPはこのほかにも、無線LANとBluetooth、それに指紋認証機能を内蔵させた高機能版iPAQも同時発表している。
もっとも、来年夏に登場する「Office 11」に関しては、Microsoftが元々得意とするフィールドだけに、より具体的なビジョンを示すことができそうだ。
Office 11に追加されるXMLツールの「XDocs」は、XMLベースの企業情報システムに、Officeから簡単にアクセスしたり、スキーマ定義を行う機能を提供する。
XDocsを用いることで、Officeが企業内の情報サービスのフロントエンドツールとして機能するようになるのだ。例えば、使い慣れたExcelを用い、企業情報を引き出しながら演算、シミュレート、ビジュアライズを簡単に行えるようになる。
また、キーボードからもタブレットからも、そしてインターネットの情報やローカルの画像も含め、さまざまなオブジェクトをフリースタイルのノートとしてまとめる「OneNote」という新しい製品がOfficeファミリーに加わることを発表した。来年のOffice 11と同時にリリースされる。
[本田雅一, ITmedia]
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
前のページ | 1/2 | 次のページ