News 2002年12月13日 01:32 AM 更新

TRONは“100年OS”を目指す――坂村健東大教授

TRONプロジェクトの坂村東大教授は、TRONSHOWに先立つ講演で「100年使えるソフトウェアを目指そう」と、T-Engineアーキテクチャの採用を訴えた

 TRONSHOW開幕に先立つ11日の講演で、TRONプロジェクトの坂村健東京大学教授はTRONプロジェクトの成果と今後の活動について語った。

 同氏は、全世界のコンピュータの94%が機器組込であり、TRON OSはその約半分を占めるシェアNo.1 OSであることを紹介したうえで、ユビキタスコンピューティングの全世界的な関心の高まりとともに、TRONはさらに注目を集めていると述べた。

 その理由として、TRONは現在主流になっているパソコンOSなどと異なり1984年以来の長い歴史があり、GPLの“ない”完全なオープンアーキテクチャであること、世界で初めて“Computing Everywhere”(どこでもコンピュータ)を提唱したことを挙げた。つまり、Windowsよりずっと歴史があり、Linuxのような公開義務も課さない、ユビキタスなどとっくの昔に考えていた――というわけだ。


TRONについて熱弁をふるう坂村健教授

 その坂村氏が2002年の成果として強調していたのが、T-Engineアーキテクチャの急激な普及だ。このT-Engineアーキテクチャは、ハードウェアを標準化することでミドルウェアの互換性を確保し、その流通を目指したものだ(関連記事を参照)。

 坂村氏は「組込機器のように利益率の低いビジネスで、今までのようにソフトウェアを使い捨てにしていては、どこの企業も体力が持たない。T-Engineアーキテクチャに沿ったソフトウェアであれば、異なるCPUでもリコンパイルするだけで再利用でき、新製品を短期間に開発できる。100年使えるソフトウェアを目指そう」と、T-Engineの優位性とその普及を訴えた。

「われわれは最先端。米国から学ぶものは何もない」

 この日の講演で目玉として用意されていたのは、来春メドという「ユビキタスIDセンター」を設立だ。

 同氏は、ユビキタスコンピューティングを実現するには、あらゆる「モノ」にIDコードを付与し、それを自動的に認識するシステムの構築が必要だとし、そのコード体系として「ユビキタスID」を提唱している。ユビキタスIDは128ビット長で、世の中に流通する物はもちろん、ソフトウェアやサービスなどの無形物にもすべてIDを付与することができる。

 この技術を応用すれば、インターネット対応冷蔵庫に商品を入れるだけで、冷蔵庫が商品タグに埋め込まれたユビキタスIDを読み取り、外出先から携帯電話を使って冷蔵庫の中にある商品の種類、生産者、賞味期限などの情報を検索することも可能になるわけだ。

 ユビキタスIDセンターは、「モノ」を認識するための基盤技術の確立と普及を目指し、各業界団体にユビキタスIDの付与を呼びかけるとともに、日本国内のユビキタスID管理センターとして機能するという。

 「輸入品が多く流通する時代に、日本国内の生産物にのみユビキタスIDを付与しても実効力があるのか」という皮肉な問いも記者たちからは出たが、坂村氏は「国際標準化するまで待てない。ユビキタスIDの技術は世界最先端のものであり、理論的にはすでに完成している。日本が世界に先駆けて普及させ、もし世界各国がその技術を必要とすれば、われわれは喜んで提供する。そして、それぞれの国が実情にあわせてユビキタスIDを付与すればよい。これが、今の日本にできる最大の国際貢献だ」と反論。

 また、「同様の研究を行っているMIT(マサチューセッツ工科大学)との技術協力はあり得るか」という問いに対しては、「MITがやっていることは、単にバーコードを置き換えようというだけのものだ。データ長も96ビットと小さい。われわれの技術はその数段上を行くもので、彼らから学ぶものは何もない。もちろん、彼らのほうから技術協力を求められたら歓迎するが、われわれのほうから何かを頼みに行く理由は何もない」といつもどおり強気一辺倒だった。

[山口哲, ITmedia]

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