News 2003年1月7日 10:57 PM 更新

コニカ‐ミノルタ経営統合で、何が変わる?

コニカとミノルタが今年8月をめどに経営統合する。両社が展開するデジカメ事業はどうなるのか。戦略事業として位置付けられたオプト分野での新市場とは? 都内で行われた記者会見で両社の社長が語った

 コニカとミノルタは1月7日、今年8月をめどに経営統合すると発表。都内で行われた記者会見では、両社の社長が経営統合の狙いや新会社の概要を語った。


都内で行われた記者会見。中央左がコニカ岩居文雄社長、中央右がミノルタ太田義勝社長

 両社の統合についてコニカの岩居文雄社長は「両社の事業力を結集させることで新たなグループ全体での事業拡大、競争力の強化、収益力の向上をはかるのが統合の最大の狙い。両社とも最大のメリットがあることを信じている。重要なのは統合よりもその結果。期待にそえる結果を出したい」と話す。

 また、ミノルタの太田義勝社長は「2000年4月から行ってきた業務提携の中で、正面から問題を解決していこうという姿勢が両社に共通していることを知り、本当に信頼していける会社と確信した。統合というよりも新しい会社をいかに作っていくか、イメージング分野でより良い会社を作っていこうという点でも両社同じだった」と語る。

経営統合は3ステップで順次移行

 コニカは昨年11月に、2003年4月に全事業を会社分割して持株会社に移行することを発表している。統合のスケジュールとしては、まず当初の予定通り2003年4月にコニカが事業ごとに持株会社化して6つの会社(コニカビジネステクノロジーズ、同メディカル&グラフィック、同フォトイメージング、同オプト、同ビジネスエキスパート、同テクノロジーセンター)に事業を移行する。

 次のステップとして同年8月に純粋持株会社であるコニカを完全親会社とし、ミノルタを完全子会社とする株式交換を行って新統合持株会社「コニカミノルタホールディングス」を設立。そして最終ステップとして同年10月までにグループ内における事業再編を行い、情報機器やオプト(光ピックアップ)、カメラなどの6事業会社(コニカミノルタビジネステクノロジーズ、同メディカル&グラフィック、同フォトイメージング、同オプト、同カメラ、同アドバンストセンシング)、技術開発と管理業務を行う2共通会社(同ビジネスエキスパート、同テクノロジーセンター)という新しい企業グループ体制を計画している。

 経営統合によって両社合わせた2002年3月期の売上高は1兆円を超える規模となり、キヤノン、富士写真フイルム、リコーに続いて精密機器業界第4位のメーカーが誕生することになる。統合効果として500億円を見込み、2005年度に売上高1兆3000億円、営業利益1500億円を目指す。

デジカメはミノルタブランドに統合

 コンシューマユーザーにとって気になるのは、やはりデジタルカメラ事業だろう。コニカはコンパクトタイプを中心としたRevioシリーズ、ミノルタはハイエンド機から薄型軽量タイプまで揃えたDiMAGEシリーズと、両社ともにデジタルカメラを製品ラインアップに揃えている。統合後のデジタルカメラ事業は「コニカミノルタカメラ」(仮称)で行い、製品にはミノルタブランドが冠される予定。なお、銀塩フィルムはコニカブランドで展開する。

 デジカメ黎明期に振るわなかったことからデジカメ市場から撤退していたミノルタは、2001年5月にデジカメ新製品4機種を一気に投入してデジカメ市場に再参入。中でも5Mピクセル・光学7倍ズームを備えたレンズ一体型一眼レフ「DiMAGE 7」は、そのハイスペックさやカメラメーカーならではのコダワリの機能で業界を驚かせた。また、翌2002年1月に発表した業界初の屈曲光学ズームレンズ方式を採用した「DiMAGE X」は、手のひらサイズの薄型ボディに光学3倍ズームなどがユーザーに受け、常に売れ筋上位に登場する人気商品となり、高画素化した上位機種が出た後も併売されるなどロングセールスを続けている。

 ただし両社のデジカメ市場でのシェア(金額ベース)はミノルタが6%前後、コニカが2%前後で、両社を合計しても2ケタに到達しない。この点についてミノルタの太田社長は「統合のシナジー効果で2005年には10%を超えて15%前後までシェアを拡大していきたい」と語る。これが実現すれば、富士写真フイルム、オリンパス光学工業、キヤノン、ソニーの4強に食い込むことになる。


統合効果で2005年にはシェア15%前後に

 一方で太田社長は「これまで、高付加価値を備えたユーザーに強くアピールできる商品を提供し、ショップで長く置いてもらえることを心がけてきた。統合後も単にシェアを追うのではなく、こういった商品を積み上げていくことを中心に考えていく」とし、ヤミクモにラインアップを増やすのではなく、しっかり収益を確保できる息の長い商品作りを行っていくことを強調した。

オプト事業はカメラ付きケータイがターゲット

 経営統合で両社が戦略事業と位置付けるのがオプト事業だ。特にコニカは1984年に世界で初めてCD用非球面プラスチックレンズの開発に成功して以来、CDやDVDなどオプティカルドライブの心臓部である光ピックアップで圧倒的なシェアを誇る。また、ミノルタもカメラレンズで培ったガラスモールドレンズ技術を有する。この両社の保有する高いレンズ開発力を生かして狙う新市場が、カメラ付きケータイ向けのMCU(マイクロカメラユニット)だ。

 「光ピックアップ分野では、引き続きトップシェアを維持していく。高収益が見込める新市場としてターゲットにするのが、カメラ付きケータイ向けMCU。今年秋頃には1Mピクセルの市場が台頭する。この高画素タイプのMCUに注力し、光ピックアップに続くオプト事業の柱にしていきたい。数年後には300億−400億円の事業規模を狙う」(コニカ)。


経営統合の成功を願って固い握手を交わす両社長

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[西坂真人, ITmedia]

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