News | 2003年1月22日 08:59 PM 更新 |
慶大の斎藤助教授に続いてセミナーに登場したのは、広島市立大の加藤博一氏。同氏は「Tangible Augmented Reality」、すなわち、Tangible User Interface と Augmented Realityを組み合わせたビデオシースルー型の映像と現実世界のモノとの映像合成システムについて解説した。「Tangible Augmented Reality」とは、拡張現実感とバーチャルリアリティの両方の融合したシステムのことである。
Tangibleは“実体のある”とった意味だが、コンピュータの世界で言えば、MITの石井裕教授が、2000年6月に東京オペラシティのNTTインターコミュニケーションセンターで開催した「ICCオープンスタジオ タンジブルビット」展が、強いインパクトをもった展示として知られている。
石井教授は、タンジブルに「手につかみ操作できる」とか「物理オブジェクトとデジタル情報をリンクする」というような意味づけを与えて使用していた。なかでも有名なのが、「ミュージックボトル」と題されたボトルである。「ミュージックボトル」は、ボトルの蓋をとると、そこから香りや液体が出てくるかわりに、音楽や天気予報が聞こえてくる。マウスやキーボードを操作するのではなく、実体のあるモノ自体を操作することで、もっとコンピュータを自然で使いやすいものにしようとするのが「タンジブル」なのである。
加藤氏の「Tangible Augmented Reality」では、ヘッドマウントディスプレイを使って現実のモノの上に仮想的にモノを作り出し、それをパドルを用いて、操作する。このシステムは、バーチャルな飛び出す絵本の「MagicBook」と、操作インターフェース「MagicPaddle」と名づけられた。
実験の結果、パドルは、直感的だが操作が難しいということがわかったそうだ。これに懲りず、続けて作成したのが、カップ型のインタフェースである。伏せたカップを使ってものを選択したり、移動したりする。丁半ゲームにぴったりな感じかも。
[美崎薫, ITmedia]
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