News 2003年2月20日 10:53 AM 更新

無線LANが“バケツリレー”でつながっていく

Intelは、無線LANのパケットをワイヤレスデバイスのバケツリレー方式で相手に届ける技術をIDF会場で展示した。Mesh Networkと名づけられたこの新技術が普及すれば、無線LANのサービスエリアを飛躍的に広げられる可能性がある

 「Intel Developer Forum Spring 2003」の展示会場から、ワイヤレスネットワークのカバーエリアを広げる新しい技術を紹介しよう。

 「Mesh Network」と名付けられた技術は、ワイヤレスデバイス同士が違いに最も近い(電波状況の良い)デバイスを探しながら、最適な経路で通信パケットをリレーするための技術だ。

 現在の無線LANは、アクセスポイントやアドホックネットワークの通信相手に対して、直接パケットを送出する。しかし、Mesh Networkでは通信相手ではなく、通信できる相手にパケットを送出し、バケツリレー式で送信する相手に届けてもらう。


Mesh Networkのイメージ。各デバイスがバケツリレーでパケットを届ける

 昔からのコンピュータユーザーならば、UUCPによるネットニュースやメールの配送方法を思い出さないだろうか? UUCPがIPネットワークの届かない場所にあるコンピュータにも情報を届けたように、Mesh Networkもまた無線LANのサービスエリアを拡張する。

 UUCPとMesh Networkが決定的に異なるのは、自動的に転送ルートが最適化されることである。ワイヤレス通信機能を持ったポータブルデバイスが、人間とともに動くと各デバイス間の電波状況を分析しながら最適経路を見つけ出すため、静的に何らかの設定を行う必要がない。

 Mesh Networkはまた、ポータブルデバイスのバッテリ持続時間を伸ばす効果もある。現在の無線LANでは、カバーエリアを広げるために高い電波強度で通信を行わなければならない。しかし、Mesh Networkでは最も近い場所にある機器と通信できれば良いため、弱い電波でも十分に高い品質のワイヤレス通信を行える。

 担当者によると、現在は主に室内での用途を考えているという。今後、家電などにも無線LAN技術が広がっていけば、様々な場所に中継を行ってくれるデバイスが現れ、バケツリレーでアクセスポイントを置く場所や電波強度を気にせずにホームネットワークを構築できるようになるはずだ。

 試しに「屋外ではどんな使い方が?」と訪ねてみたが、今のところ屋外での利用は想定して開発していないとのこと。いやしかし、ベイエリアのRoute101の渋滞を考えれば車同士がMesh Networkで繋がることを考えてもよさそうなのだが? きっと何十マイルも先のホットスポットに、渋滞に並ぶ車からアクセスできるに違いない。

 Mesh Networkに限らず、ワイヤレス技術でデジタルデバイスを使い易くする試みに、Intelは熱心だ。

 ここ数回のIDFでIntelは、モバイルデバイス向けのインテリジェントなローミング技術を繰り返し展示している。これはMobile IPを用いた手法で、異なるアクセス手段、異なるネットワークサービスに跨りながら、同じIPアドレスで通信を継続しつつ移動するための技術。ユーザーは接続先や接続経路を意識せずに、目的の相手と通信できる。このほかコミュニケーションしている相手が、社内のどこにいるかを把握できる「Location Aware Computing」のデモも行われていた。

 これらの技術を組み合わせることで、ワイヤレスモバイルコンピューティングをより使い易いものとし、モバイルPCの付加価値を向上させていくのが目的である。数年後には、いずれかの技術は、ごく当たり前の機能となってわれわれの手元で使われるようになるかもしれない。

関連リンク
▼ 特集:Intel Developer Forum Spring 2003

[本田雅一, ITmedia]

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