News:アンカーデスク 2003年2月24日 03:07 PM 更新

大丈夫か、デジタル放送(1/2)

デジタル放送のための「アナアナ変換」がついに始まった。だが、総務省が開始に合わせてスタートさせたサイトをよーく読むと、いやもうツッコミどころが満載という始末。いろんな難題も未解決のままで、さて、デジタル放送は本当に大丈夫なのだろうか
顔

 鬼がでるか蛇がでるか。いよいよ地上波デジタル放送へ向けての第1フェーズがスタートした。

 2月9日からアナログ周波数変換、いわゆる「アナアナ変換」が該当地域で始まったのである。これは筆者が説明するよりも、総務省による告知ページがオープンしたので、まずはそれを見ていただくのが筋だ。ちなみのこの女の子のキャラ名は、「デジタ ルカ」だそうである。いや、そんなストレートな。

 さてこのアナアナ変換、結構大がかりな話なのだが、あまり積極的に告知されて来なかったので、ご存じない方もいて当然だ。しかしテレビ業界側の人間ならきっと、「えっ、知らなかったの?」と言うことだろう。そこには自分たちのことは全国民が常に注目しているはず、というマスコミの“おごり”がそこにないとは言えない。総務省ではようやく街頭などでキャンペーンを始めたところだが、放送媒体側でも自分たちのことなので、もっと積極的に告知を行なうべきだろう。

 この変換作業の実態だが、当初の予定ではアンテナの方向調整やテレビのチャンネル設定変更程度で済むはずだった。ところが実際に受信側装置に関わる人間の間で、とてもそれだけでは済まないのではないか、という問題が指摘された。それが「ブースター障害」である。

ブースター障害とは

 ブースターとは、受信した電波を電気的に増幅するためのアンプのようなもので、ほとんどの家庭や集合住宅に付けられている。ブースターにはVHF用、UHF用、V/U共用のものなどいろいろなタイプがある。

 なぜいろいろなタイプがあるかというと、それぞれの地域の事情に合わせた機材が選択できるようになっているからである。

 例えばVHFはバリバリに受信できる地域でUHF局を1局受信するためにブースターを選ぶならば、当然値の張るV/U共用のものを選択することはあり得ない。また定格入力も1波だけなら、それほど大きくなくてもいいだろう。電波強度が十分な場合は、かえってブースターを入れると過入力によるノイズが現われることになるからだ。

 しかしご存じのように、デジタル放送というのはUHF波を利用する。民放・NHK合わせて最大で7波もUHF波が増えることになるのだ。しかしブースターは、現状の電波事情に応じたものしか組み込まれていないため、そのままではこれだけ大量の電波の入力に耐えられないものも当然出てくる。そうなればデジタル放送が始まった瞬間に、既存のUHF局が見られなくなることもあり得る。

 ブースター障害の問題点は、各家庭ごとに判で押したような同じ対応ができないことだ。そのブースターの定格を超えないよう入力を調整したり、全然ダメだとわかればブースターを交換するなど、ちゃんとやればかなり面倒な手間になりそうだ。現在このブースター設置世帯数は、どこの誰も把握できていない。

 このブースター交換費用に関しては、国からのアナアナ変換対策費の中から出すのかどうかという部分が注目されていたが、前出の「告知ページ」内のFAQ項目3によれば、この費用も対策費の対象になるということらしい。

FAQはツッコミどころ満載

 しかしこのFAQを読んでいると、さまざまな疑問が沸いてくる。例えば「チャンネルのこと編」のQ8だ。

 それによれば、PCにテレビボードなどを入れて見ている場合でも、設置場所が固定していればチャンネル変更をしてくれるという。ってことはだ、お宅のSONY VAIOからCanopus MTV2000、はたまたエスケイネットのMonsterTVに至るまで、すべてのキャプチャカードにバリバリ対応してくれちゃうらしい。すげぇなぁ。

 実際にはどういう人が派遣されてくるのか、残念ながら筆者の住む場所ではアナアナ変換が必要ないので確認することはできないが、指定業者と言いながら、実際には下請けの電気工事屋の兄ちゃんとかおっちゃんとかがやってくるわけだろう。そんな種々雑多のキャプチャカードのチャンネル変更が、そういう人たちで実際に可能なのだろうか。該当地区の方は、依頼してみると楽しいかもしれない。逆に苦しいことになるかもしれないが。

 「テレビ番組とテレビ編」のQ9は、県境にお住まいの方には切実な問題だろう。アナアナ変換によって、隣県の放送が見られなくなっても知らぬ、ということである。

[小寺信良, ITmedia]

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