News | 2003年3月7日 02:53 AM 更新 |
ソニーが3月3日、世界初のBlu-ray Discレコーダ「BDZ-S77」を発表。これによって、光ディスク業界はついに“ブルーの夜明け”を迎えた。
このBlu-ray Discレコーダは、HD(High Definition)品質の映像録画ターゲットとして開発されたこともあり、次世代の光ディスクレコーダとして、以前から注目を集めていた。すでに始まっているBSデジタル放送だけでなく、年末には地上波デジタル放送が始まる。それだけに、この製品に対する期待は大きいものがあったのだ。
だが、その一方、この製品は、発表会が開かれなかったこともあり、仕様や戦略などで不明な部分も多かった(3月4日の記事)。
さまざまな“謎”には、どんな答えがあったのか。
Blu-ray Discレコーダ「BDZ-S77」の未公表部分の仕様や今後の展開などについて、ソニーに話をうかがうことができた。
Blu-ray Discレコーダは、将来を考えた理想的な製品の追求
「今から2年後、3年後、5年後と考えると、BSデジタル放送はすでに始まっていますし、地上波のデジタル放送も始まっています。お客さんのHDへの需要とか、長時間記録や高画質といった要望は当然増えます。価値基準は、変わっていくんです。その準備を含め、われわれは、一番理想的な商品は何かと考えました。そうしてできたのが、今回の製品です」。
次世代の光ディスクレコーダ「BDZ-S77」の開発経緯について、ソニー AV/IT開発本部 企画部 統括部長 河内幸紀氏はこう話す。
記録型DVDの次を担う次世代光ディスクBlu-ray Discレコーダ(以下、BDレコーダ)を世界で初めて商品化したソニーでは、今あるものを急速に置き換えるのではなく、長期的な視野に立って製品を発売したのだという。
「当然のことながら、かなり長い時間、市場ではDVDとBlu-rayが共存していくと思っています。Blu-ray担当としては、どこかでBD一本になってくれたらいいなとは思いますが、そうもいかんだろうと」(河内氏)。
これは、もっともな話。DVDは爆発的といってもよい速度で普及を始めており、BDレコーダがで出たからなくなるというわけではない。そして、それがわかっているからこそ、BDZ-S77でも、従来からあるCDやDVDの再生をサポートしている。これは、Blu-ray Discが一気にDVDに取って代わることを意味しているのではなく、次第にレコーダ市場を置き換えていくということを見越しているからだ。
「ソニーとしては、“今”という時間だけを切り取れば、当然、BDがハイエンド、DVDは、普及帯ということになります。ただ、フォーマットしてのDVDがなくなるわけではありません。BDレコーダが将来もっと安くなれば、ある程度のところは、BDレコーダで間に合うでしょう」(河内氏)。
加えて、河内氏は、BDレコーダと記録型DVDレコーダでは、きちんと差別化ができていると話し、BDはハイエンドユーザーには魅力がある製品だという(編集部注:ソニーのDVDレコーダ戦略については、別途インタビューを掲載予定)。
「Blu-rayは、(記録型DVDレコーダと比較して)価格も違いますし、用途も違います。そしてベネフィットも違います。(BDは)SDであっても、圧倒的に高画質なんで、画質を追求するという方なら、お求めいただけると思っています。つまり、何を記録するかということ。1つはもちろんHDですが、SDということでも、パーソナルコンテンツ、例えば、カムコーダならBDで記録した方がきれいです。購入される方が、そこにどれだけこだわりをもたれるかによります」。
また、リアルハイビジョンをすでに楽しんでいるユーザーには、テープからより便利なディスクに移行できるというメリットがある。
[北川達也, ITmedia]
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