News:アンカーデスク 2003年3月4日 00:01 AM 更新

ソニーのBlu-rayレコーダをめぐる「謎」(1/2)

華々しい製品発表会もなく、ソニーのBlu-rayレコーダが突如発表された。なぜこの時期にこの形での発表になったのか、そして出荷台数や詳細な仕様はどうなっているのか。この製品は現時点で、あまりにもたくさんの「謎」が残されている

 年末の地上波デジタル放送の開始に向け、リリースが予想されていた次世代光ディスクレコーダがいよいよ登場する。ソニーから本日発表された世界初のBlu-ray Discレコーダ「BDZ-S77」がそれだ。だが、話題性が高い割には、謎が多い製品となってしまっている。

 まず、3日の発表についてだが、この製品についてはかねてから発表時期に関する話題が絶えなかった。思い起こせば、昨年10月にCEATEC Japanにおいて同社が展示した試作機は、その完成度のあまりの高さから「ソニーが来年2月に発売するらしい」――と業界では一時期話題になったことがあった。しかし、その後、目だった動きもなく、それは一時期トーンダウンした。

 それに追い討ちをかけるように、同社の安藤国威社長が今年1月に開かれたCESの基調講演で「Blu-ray Discレコーダは2004年から」とコメント。業界では、これを受けて「あれだけBlu-ray Discレコーダに積極的だったソニーに何があったんだろう」――と逆に話題になったものだ。だが、メデタク(?)話題の製品は、なんも前触れもなく本日発表された。世界初という話題の製品の割には、製品発表会も開かれない異例の形というオマケまでついて……。

なぜ大々的な発表を行わなかったのか?

 Blu-ray Discレコーダは、いわずと知れたHD-TVの録画を主たる用途に想定した次世代の光ディスクレコーダである。Blu-ray Discファウンダーズと呼ばれる日欧韓の主要家電メーカー9社からなる業界任意団体で規格化されたものだ。

 ソニーは、以前よりその開発をもっとも意欲的行っていたメーカーとして知られている。それは、各展示会への試作機の出展状況などをみても明らかであった。しかし、不思議なことに、世界初となる「BDZ-S77」の発表は、リリースのみで、その発表会が開かれる予定はないという。「現在のところ発売予定日の4月10日までの間で発表会等の予定はない」(ソニーマーケティング広報部)。

 その理由についてソニー広報部は「そういった(なぜ製品発表会を開かなかったかという)問い合わせは多くいただいていますが、取り立てて意味はありません。」と話している。

 「世界初とはいえ、すでに展示会などにおいて何度もお見せしていますし、昨年から展示会等で、お見せしていたときから、春ぐらいには商品化したいといっていました。その流れの中で発表に至ったというだけです」(同社広報部)。

 だが、他のメーカーでは、「通常、こういった話題性の高い製品の場合では、発表会を行うものなのですが――不思議ですね」といぶかしがる。いずれにせよ、世界初の製品の割には、なぜか寂しい船出なってしまったという感じはぬぐえない。

 現在ところ、BDZ-S77のメディア向けの説明会なども予定されていない。ただ、ソニーマーケティングでは、時期は未定としながらも銀座及び大阪のソニープラザにおいて、「展示を予定しており、実機をユーザーが触ることができる機会を設ける予定」と話す。発表会は、開かれないようだが、実機をユーザーが触ることができる機会は準備されているようだ。

製品面でも謎が多いBDZ-S77

 BDZ-S77は、製品面でも“謎”が多い。現時点で不明な点をざっと挙げただけでも、次のようなものがある。

(1)現在策定中の再生専用ディスクは読めるのか?
(2)2層記録メディアの読み出しはできるのか?
(3)コピーワンス番組を録画したときのアナログ出力はどうしたのか?
(4)地上波デジタル放送が始まったときのチューナーサポートをどうするのか?
(5)青紫色レーザーの数は取れるのか?

[北川達也, ITmedia]

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