News 2003年3月12日 07:12 PM 更新

Centrino搭載ノート、各社の製品コンセプト
メインマシンとしても使えるモバイルを――NEC「LaVie M」(1/2)

「LaVie M」1シリーズだけの参戦となったNEC。だが、その分、他社のフラッグシップに匹敵するハイパフォーマンスを追及。発熱には集中防御的な処理、.11a対応のため上位機種ではあえてCentrinoロゴを取得しないなど、個性的なアプローチを見せている

 NECがCentrino搭載ノートPCとして投入するのはLaVie Mの1シリーズだけ。多彩なノートPCラインアップを誇るNECとしてはやや控えめな参戦と見えるが、その真意はどこにあるのだろうか。


LaVie M開発チーム。左から、NECカスタムテクニカ 商品計画部 田中秀典氏(開発担当)、NECカスタマックス マーケティング本部 前野貴明氏(マーケティング担当)

メインマシンとしてのパフォーマンスと携帯性を両立させたいLaVie M

 ハイパワーなLaVie T、低価格のバリューモデルであるLaVie LとLaVie C、さらにLaVie Fとなると、積極的にCentrinoを搭載しなければならない理由はそれほど強くない。付け加えればこれらはNECラインアップではパーソナル、ファミリーのラインに位置付けられている。

 「パーソナル、ファミリーラインの製品はやはり商戦期に売り上げが伸びるので、そこにタイミングを合わせて新製品を投入します」(前野氏)。

 一方、「最新テクノロジーを搭載するニュースタイルラインは、商戦期に関係なく、今回のように新技術の登場に合わせて売り上げが伸びます」(前野氏)。となると、LaVie Mと同様、ニュースタイルに属する「LaVie J」もCentrinoを採用してもよさそうだ。しかもLaVie Jのコンセプトは「スマートモバイル」と呼ぶ、携帯利用を最も意識したモデルだ。

 なぜ、今回LaVie Jの投入を見送ったのか。

 「今年の1月に投入した新しいLaVie Jで最も重視したのは、あらゆるホットスポットに対応できるデュアルバンド対応無線LANの実装。ほかのスペックである、パフォーマンスやバッテリ駆動時間はULV モバイルPentium III-M/933MHzで十分満足できていた。すなわち、1月の時点でLaVie Jに十分満足できるスペックを実装できる状態だったので、製品を発売した。この時点で新しいソリューションを投入するのは早すぎる」(前野氏)というのが、LaVie MだけがCentrinoを採用した背景らしい。

無視できないビデオチップパフォーマンス

 LaVie Mはラインアップ的にはモバイル重視モデルだが、LaVie Jとの差別化もあって、メインマシンとして使えるパフォーマンスも要求されている。そういう意味では他社のA4スリムノートPCに近いスペックを実装しなければならない。

 LaVie MではPentium M/1.3GHzを搭載し、CPUパワーを確保している。そしてビデオチップにはMOBILITY RADEON 9000を実装することで、他社のフラッグシップノートPC並みのパフォーマンスを持たせている。

 LaVie Mでも熱設計と消費電力では不利になる外付けビデオチップ、しかもMOBILITY RADEON系では最もパワーも熱も消費電力も高い最上位チップをなぜ採用したのか。

 これには「開発としてはIntel 855GMを待ちたかったのだが、3月投入製品で安定供給が可能になるだけのスケジュールが見えてこなかった」(田中氏)というIntel 855GMの開発スケジュールの遅延に加え、「市場では、パフォーマンスをアピールできる外付けの最新ビデオチップがより好まれる」というマーケティング的事情があった。

 加えて、「同じパーツ構成で長年使うことになるノートPCでは、最新の規格であるDirect X9.0に対応したMOBIRITY RADEON 9000の実装が望まれる」(田中氏)といった製品の延命性も考慮されている。

一点集中防御の冷却機構

 高性能ビデオチップの搭載によって、負荷ピーク時の発熱量は「従来のLaVie Mより増加している」(田中氏)。

 より強力な冷却機構を実装する必要があるわけだが、そのために「高温を発生するチップを集中して配置し、ヒートシンクで一気に排熱する」(田中氏)という集中防御的手法をとっている。

 これは基板の両面にCPU、ビデオチップ、ノースブリッジを分散し、実装面積は1カ所に集めるといった、今回登場するほかのノートPCには見れらないユニークな基板レイアウトにも表れている。

[長浜和也, ITmedia]

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